もしもの時、どこまで補償され、どこから自己負担なのか知っておくと安心だ

夏は旅行のシーズンだが、一方で日本は台風や大雨など悪天候に見舞われやすい季節でもある。そこで、悪天候時の航空会社の対応と補償範囲についてまとめてみたい。

国内の航空会社はANAとJALの大手、スカイマークなどの新興航空会社、ジェットスター・ジャパンなどの低コスト航空会社(LCC)に大別できるが、悪天候時の対応もこの分け方で覚えておくといい。乗客の都合以外の不可抗力の理由であるため通常よりは手厚い対応となるが、補償内容は航空会社のカテゴリーによりかなり異なる。

大手と新興航空会社は振替・払い戻しOK

まず、大手は台風や降雪などによる欠航や遅延が生じた場合、便の振替や運賃の払い戻しをしてくれる。そのための手数料も不要だ。手続きは自分でする必要があるが、電話でもインターネットでも可能。マイレージで獲得した特典航空券での旅行も対応は、同じで便の振替やマイレージ会員口座へのマイル返還ができる。

また、台風が近づいているなど悪天候が予想される場合、航空会社は影響を受けそうな便を「天候調査中」に指定する。この対象便になっていれば事前の振替や払い戻しに応じてくれるので、調べてみるといいだろう。

旅先で欠航や遅延が生じた場合も同じ対応をしてくれるが、もし宿泊が必要になった場合の費用は自己負担だ。心配なら航空機遅延補償付きの保険(クレジットカード付帯)に入る方法もあるだろう。

スカイマークやエア・ドゥ、スターフライヤー、ソラシドエアといった新興航空会社も基本的には上記の大手と同じ対応をしてくれる。

大手の対応は手厚い。現地宿泊費の補償は1万円前後が一般的

補償条件の厳しいLCC

対応や補償範囲が異なるのはLCCだ。欠航による払い戻しは可能だが、振替ができるのは自社便だけであり、遅延時の補償範囲も数時間単位の大幅な遅延のみが対象になると考えていいだろう。LCCは便数が少ないため、振替が翌日便になる確率は大手に比べると高いと言えるが、その場合の宿泊費も自己負担の場合が多い。

条件付き運航便も大手の対応が手厚い

では、条件付き運航便で出発してしまった場合はどうだろうか。条件付き運航とは、目的地の天候が不順であるため、代替空港に着陸するか出発空港に引き返すことを、あらかじめ乗客に告げた上で運航する便のこと。例えば、熊本空港の替わりに福岡空港に着陸するなど近隣の空港が代替空港になる。

もし代替空港に降りた場合、当初の目的地までの交通費、あるいは宿泊が必要になった時の費用なども航空会社が負担してくれる。出発地に引き返した場合は、払い戻しも可能だ。新興航空会社やLCCも条件付き運航便はあるが、大手ほど手厚いサービスは望めない。

一度は問い合わせを

最後に、パックツアーで旅行する場合はどうだろうか。ツアーも飛行機を使うのであれば航空会社の運航状況に合わせた対応になるわけだが、悪天候の場合、早い段階で催行中止・代金払い戻しになるケースが少なくない。日程の短いツアーは大幅に遅れると現地滞在時間が大幅に短くなるなど、リスクも大きい。現地から帰る便が遅れた場合の宿泊費なども、同じく自己負担となる。

天候によりどの程度の影響を受けるかにもよるが、よほどひどい場合はイレギュラーケースとしてもっと手厚い補償をしてくれることもあり、それは大手でもLCCでも同じだ。いずれにせよ悪天候で予定通りの運航が見込めない場合は、空港の係員やコールセンターなどに一度、問い合わせてみることをすすめる。

航空各社の悪天候時の対応は以下のサイトを参照。

<大手航空会社>
ANA

JAL

<新興航空会社>
スカイマーク

スターフライヤー

エア・ドゥ

ソラシドエア

フジドリームエアラインズ

<LCC>
ジェットスター・ジャパン(FAQ)

バニラエア

ピーチ・アビエーション

春秋航空日本

筆者プロフィール : 緒方信一郎

航空・旅行ジャーナリスト。旅行業界誌・旅行雑誌の記者・編集者として活動し独立。25年以上にわたり航空・旅行をテーマに雑誌や新聞、テレビ、ラジオ、インターネットなど様々なメディアで執筆・コメント・解説を行う。著書に『業界のプロが本音で教える 絶対トクする!海外旅行の新常識』など。