人気アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する「RX-78 ガンダム」の18m実物大モデルを実際に動かすプロジェクト「ガンダム GLOBL CHALLENGE」の記者発表会が9日、都内で行われ、「ガンダム」シリーズの生みの親・富野由悠季監督らが登場した。
このプロジェクトは、今年3月の発表会で「REAL G Next Project」として発表されていたもので、名称新たに「ガンダムGLOBAL CHALLENGE」として始動。2019年の「ガンダム」40周年に向けて、実物大ガンダムを実際に動かしていく。キャッチコピーは「夢に挑戦、ガンダムが動く、世界が動く」。2009年の「ガンダム30周年」に東京・台場に登場した18mの1/1立像は、日本のみならず海外にも大きなインパクトを与えたが、「ガンダムGLOBAL CHALLENGE」では、18mのリアルガンダムのその先のリアル、新しいリアルの可能性を探っていくという。
実際に「ガンダム」を動かすというプロジェクトの実現にあたり、そのアイデアは世界中から広く募集。7月下旬には公式サイトにて募集要項が公開され、「ガンダム」を物理的に動かす「リアルエンターテインメント」部門と、視覚効果などを利用しながら仮想現実(VR)で動きを再現する「バーチャルエンターテインメント」部門の2つを設け、国内外から広くアイデアを募っていくという。発表会に出席したサンライズの代表取締役社長・宮河恭夫氏は「動かすことも大変重要ですが、そのアイデア募集、検討過程や制作過程などすべての流れが一つのエンターテインメントであり、本プロジェクトの醍醐味です」と前置きしながら、「このプロジェクト全体を通して、『ガンダム』コンテンツの認知拡大はもとより、ロボット技術の周知、研究の発展、技術の開発、映像エンターテインメントの発展を期待しています」と、「ガンダム」が進む新たなステージの展望を説明した。
そして、現在は最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』の制作真っ最中である富野監督も登場。「ようやくです。絵空事で考えていたものが、ひょっとしたらという形になる」と笑顔を見せながら、「(ガンダムは)これまで発信者や創作者だけのものでしたが、こういう形で広く公募するという形をとることができ、所謂今まで観客であったかもしれない、鑑賞者でしかなかったかもしれない――そういう人たちも新しいエンターテインメントのフィールドを構築できるかもしれないと想像しています」と、世界中から叡智を募るという壮大なプロジェクトに期待を寄せている。
また、富野監督は「何よりも僕自身の年代で言えば――工学に憧れながら理科系の勉強ができなかったために、理科系を断念した人間にしてみれば、1/1をせめて動かしてみたいということから、次のエンターテインメントの地平が見えるならありがたいなと思っています」と続け、技術とエンターテイメントの両側面からアプローチできる本プロジェクトに感謝をおくる。そして「問題なのは僕がもう72歳で、5年後はどうなっているんだろう……という意味ではちょっとドキドキしている部分もあります」と報道陣を笑わせながら、「新しいエンターテインメントのあり方、それから工学のあり方が見えてくればすてきだという風に思っております」と語っていた。
そのほか発表会には、35年間「ガンダム」の大ファンだというロックバンド・LUNA SEAやXJAPANのメンバーであるSUGIZOや脳科学者の茂木健一郎氏、早稲田大学副総長・理工学術院教授の橋本周司氏、5月に完結したアニメーション作品『機動戦士ガンダムUC』のストーリーを手がけた福井晴敏氏、サンライズ宮河氏によるパネルディスカッションも開催。福井氏は「先ほど富野監督が72歳だから5年後どうなっているかわからないとおっしゃっておりましたが、自分やSUGIZOさんは幸いにして40代半ば。ですので、最終的には飛ぶところまで見届けようと思っております」と、本プロジェクトのさらなる飛躍に期待を膨らませていた。
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