ハウス食品はこのほど、広島大学の東幸仁教授との共同研究で、カレーに動脈硬化予防で重要な役割を果たす血管内皮機能を改善する効果があることを臨床試験で確認したことを明らかにした。カレーの摂取は、動脈硬化を予防し、心血管の健康に役立つ可能性が考えられるという。
カレーは健康増進に効果があるとされるさまざまなスパイスが用いられているが、これまでカレーの健康効果については、ほとんど研究は行われていなかった。そこで、スパイス由来の抗酸化物質が多く含まれるカレーと、他の料理を抗酸化力で比較したところ、カレーは高い抗酸化力が期待できる食品の一つであることがわかった。
酸化によるストレスは多くの疾病に関与しており、近年は特に動脈硬化性疾患に関連していることが注目されている。動脈硬化性疾患は、悪性新生物(ガン)と並んで日本人の死因で多い(平成24年厚生労働省調べ)。
各種食品と比べて抗酸化力が高いカレーを摂取することで、血管内皮機能を健全に保つことができると考えられることから、カレーの単回摂取が血管内皮機能に及ぼす影響について調査した。
対象となったのは、14名の健康な男性(平均年齢45歳)。180gのレトルトカレーまたはスパイスを含まないコントロール食品を200gの米飯とあわせて摂取後、血管内皮機能をFMDを指標に比較した。
すると、血管内皮機能を示すFMD値(※)は、スパイスを含まないコントロール摂取により、5.8%から5.1%になったが、カレー摂取の場合、FMD値は5.2%から6.6%に上昇。FMD値は、数値が高い方が血管内皮機能が健康であると言えることから、カレー摂取は血管内皮機能が改善する働きがあることがわかった。
血管内皮機能障害は、脳卒中や心筋梗塞といった動脈硬化疾患の原因になることが知られており、カレーの摂取は健常人の心血管の健康に役立つ可能性が考えられる。同社は今後、カレーの血管内皮機能改善効果のメカニズム解明等を行いたいと考えているという。
※血管内皮機能を測定する指標。FMD値は、数値が高い方が血管がしなやかに拡張でき、血管内皮機能が健康であると言える。健常値の目安は6%以上で、5%未満で血管内皮機能障害が疑われる。