財務省は8日、2014年5月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は5,228億円の黒字となった。黒字は4カ月連続となったものの、黒字幅は前年同月比で438億円(7.7%)縮小した。
貿易・サービス収支は赤字幅を縮小したのに対し、第1次所得収支は黒字幅を縮小し、さらに第2次所得収支は赤字幅を拡大したことから、経常収支は黒字幅を縮小した。
貿易・サービス収支は7,441億円の赤字で、赤字幅は前年同月より942億円縮小した。赤字は26カ月連続となる。
貿易収支は6,759億円の赤字で、赤字幅は前年同月比で1,379億円縮小した。赤字は11カ月連続。仲介貿易の増加などにより輸出が増加したことに加え、原粗油や通信機を中心に輸入が減少したことが反映された。
輸出額は前年同月比1,099億円(2.0%)増の5兆7,188億円で、15カ月連続の増加。輸入額は同280億円(0.4%)減の6兆3,947億円で、19カ月ぶりに減少した。
また、同省関税局がまとめた2014年5月分貿易統計(通関ベース)によると、輸出額は前年同月比1,578億円(2.7%)減の5兆6,074億円。主要地域別では、対中南米が同542億円減、対ASEANが同499億円減などとなった一方、対EUは同708億円増などとなった。商品別では、鉱物性燃料が同795億円減、船舶が同395億円減、金属加工機械が同183億円増などとなった。
輸入額は前年同月比2,384億円(3.5%)減の6兆5,182億円。主要地域別では、対中東が同1,287億円減、対大洋州が同485億円減などとなった。商品別では、原粗油が同1,680億円減、通信機が同806億円減、石炭が同478億円減などとなった。
サービス収支は682億円の赤字で、赤字幅は前年同月より437億円拡大。知的財産権等使用料の受取が過去最大の4,810億円となったほか、「旅行収支」は受取の増加により赤字幅を縮小したものの、「サービス収支」全体では「その他サービス収支」が赤字転化したことなどから、赤字幅は拡大した。
第1次所得収支は1兆4,779億円の黒字で、黒字幅は前年同月比495億円縮小。証券投資に係る配当金の受取増加等により証券投資収益が増加したものの、直接投資に係る配当金・配分済支店収益の受取減少等により直接投資収益が減少したことから、第一次所得収支の黒字幅は縮小した。
第2次所得収支は2,110億円の赤字で、赤字幅は前年同月より885億円拡大した。