肯定派と否定派で二分し、白熱した議論が展開されている「とんでもございません」という言葉の問題。果たしてこれは間違った敬語なのでしょうか、それとも正しい敬語なのでしょうか?「とんでもございません」という言葉のあれこれをご紹介します。
■「とんでもございません」「とんでもありません」は間違い? それとも正しい?
「とんでもございません」「とんでもありません」という言葉を、よく耳にする方も多いと思いますが、この言葉は間違いなのでしょうか? それとも間違いではないのでしょうか?
この「とんでもございません」「とんでもありません」という言葉を巡っては、いろいろな方が疑問を持っておられるようで、間違いかそうでないかで議論になることも多いようです。
「とんでもございません」は平成19年に文化庁が出した「敬語の指針」によると、部長に「いい仕事をしたね」と声をかけられた時に、返答する言葉として「とんでもございません(とんでもありません)」と使う分には、問題がないとされています。それは「とんでもございません(ありません)」という言葉自体がかなり広まってしまっているから。
それを裏付けるのが、文化庁が全国16歳以上の男女3,000人を対象に、平成16年に行った「国語に関する世論調査」です。対象者に「とんでもございません」という言葉が気になるか、気にならないかという調査をしたところ、「気になる」と回答した方が17.8%、「気にならない」と回答した方が68.3%、「どちらとも言えない」と回答した方が12.8%だったそうです。
ただし言葉は生き物ですから、現在ではまた「とんでもございません(とんでもありません)」という言葉に対して、「気になる」という人が増えている可能性もあります。「とんでもございません(ありません)」という言葉を指摘されることは少ないとは思いますが、本来の使い方ではないということは、一応頭の隅っこに入れながら使ったほうがいいかもしれませんね。
■「とんでもない」は、それだけでひとつの言葉
「とんでもない」は「みっともない」と同じように、「とんでもない」というひとつの言葉です。決して「とんでも」と「ない」がくっついた言葉ではありません。そのため、「とんでもございません(ありません)」ではなく、「とんでもないです」、「とんでもないことです」というのが正しい言い方です。ただし「とんでもないことです」は、状況によっては「とんでもないことをしましたね」という意味に聞こえてしまう言葉なので、使い方には気を付けましょう。
言葉は時代時代で変化していくものです。「とんでもございません」「とんでもありません」は、今その渦中にある言葉なのかもしれません。これから、この言葉がどのような扱いとなっていくのか、見守っていく必要がありそうです。
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