「まるで夢のよう! 大きくなったら『ディズニーのプリンセス』って答えていたんだもの」。『眠れる森の美女』に隠されていた究極の愛の物語を描いた『マレフィセント』(7月5日公開)で、オーロラ姫を演じた女優のエル・ファニングは、夢がかなったと大興奮だった。ジャパンプレミアや来日会見で、はじける笑顔で日本のファンを魅了したエルは、オーロラ姫のどこに惹かれ、本作ではどのようなオーロラ姫を目指したのか。

そして、主人公の邪悪な妖精・マレフィセントを演じた女優のアンジェリーナ・ジョリーも、「才能にあふれている女優であり、純粋さ、素直さ、優しさというものがずっと感じられる人。アーティストとしても女性としても尊敬している。娘たちも彼女のように育ってほしい」と、才能も人間性も絶賛しているエルの将来の夢とは何か、インタビューした。

エル・ファニング
1998年4月9日生まれ。アメリカ出身。2歳8カ月で女優の活動を始め、『アイ・アム・サム』(2001年)で、実姉ダコタ・ファニングの幼少期役で映画デビュー。『SOMEWHERE』で放送映画批評家協会賞の若手俳優賞にノミネート。そのほか、『SUPER8/スーパーエイト』(2011年)、『ジンジャーの朝 さよならわたしが愛した世界』(2012年)でも同賞にノミネート 撮影:蔦野裕

――「夢だった」というディズニーのプリンセス役。オーロラ姫はエルさんにとってどういう存在ですか。

4、5歳くらいの時にディズニーのプリンセスにはまって、全部のディズニー映画を見てすべてのプリンセスをチェックしていました。その中で一番好きだったのが、実はオーロラ姫なんです。ルックスも一番自分に似ていると思ったし、大好きなピンク色のドレスを着ていたし。ディズニーストアに行ってオーロラ姫のコーナーを必ずチェックするとか、オーロラ姫の人形を全部ゲットするとか、子供の時の一番の、そして最初の思い出でもあるんです。大人になってからも彼女のことが大好きで、自分のアイコンだったので、実際に彼女を演じたって言えることがクレイジーなことで不思議なんです。

――そのオーロラ姫の役は、どういった経緯で決まったのでしょうか。

『マレフィセント』という企画があるという話が聞こえてきて、オーロラ姫の役もあるんじゃないかと思っていたら、「ミーティングに来てください」という連絡があり、監督と脚本家に会うことになったんです。そして、ミーティング後にその場で「お願いします。本これです」と渡され、その日のうちに決まったんです。マレフィセントの視点から描かれるということしか知らなかったので、どんな映画なんだろうと興奮して、帰りの車で車酔いになりながらも読んでしまうくらいワクワクしました。オーロラ姫役を演じられるなんて、信じられない思いでしたね。だって、どの女の子もディズニーのプリンセスを演じたいって夢に描いているわけですから! しかも、自分の一番好きなオーロラ姫を演じることができたから、本当にパーフェクト、特別なことなんです。

――『眠れる森の美女』で多くの人に愛されているオーロラ姫ですが、演じるにあたってどういうことを意識したのでしょうか。

みんながよく知っているキャラクターで、特にアニメの印象が強いと思いますが、あの中では、ずっと寝ているか、動物に対して歌を歌ったりしている姿しか描かれていません。彼女の性格が個性として強く伝わってくるわけではないんです。なので、このオーロラ姫を演じるにあたっては、監督や脚本家のリンダさんたちと、より強さを持っているキャラクターにしようと話をしました。例えば、裏切られた時にそれをしっかり感じていて、より複雑になっているんです。そういう私たちなりの新しいバージョンを作るのは楽しい作業でした。今回のオーロラ姫は、ただかわいいだけではなく、ガッツを持っています! ただ、新しいものを作りながら、みんなが愛している昔ながらのオーロラ姫の要素もキープしなければいけない、それがプレッシャーでもありました。

――もともとのオーロラ姫の要素で、今回取り入れたところはどこですか。

アニメのオーロラ姫は、手の動かし方が独特なんです。姿勢も彼女なりの姿勢があるので、そういった肉体的な部分を参考にしました。そして、パーソナリティー、個性の部分は、監督やリンダさんと作り上げていきました。

――アンジェリーナ・ジョリーさんとの共演はいかがでしたか。そして、何かアドバイスなどもらったのでしょうか。

最初に会った時のことは鮮明に覚えています。「アンジェリーナ来たよ」って聞こえてきて、どうしようってすごく緊張していたんですが、会ったらギュッとハグしてくれて「いっぱい楽しいことしましょうね」って言ってくれたんです。本当にそういう現場になりました。一緒に仕事をできたことだけですごいことだと思っています。アドバイスは、言葉で言ってもらうというより、見て学ぶことが多かったです。彼女は、現場でのあり方や、ディテールをとても大切にしていて、いい作品を作るためには、小さいところからこだわるんだっていうことを学びました。

――初来日となった日本はいかがでしたか。

姉(ダコタ・ファニング)が2回日本に来たことがあったので、日本はこういうところだとか、ショッピングはこういうところがいいとか、アドバイスをもらっていたんです。オフの日に、原宿や渋谷でたくさん買い物を楽しみました。印象としては、イメージ通り! 女の子たちがオシャレをするというイメージだったのですが、そのままでしたし、ネオンも想像していた通りで。でも、ここまで緑があったのは意外でした。

――最後に、将来どんな女優になりたいと思っているのか教えてください。

いろんな役を演じられるような役者さんになりたいです。役者の醍醐味(だいごみ)は、自分とまったく異なる人間、つまり他人になること。自分の日常では決してやらないようなことを、役として、ある意味、自分とは違う肉体で経験するということなので、やはりいろんな異なる約にチャレンジしていきたいです。今はなんとなく、もっとダークな役をやる時期がきたのかななんて思っています。金髪碧眼(へきがん)だから明るい役というイメージがあるかもしれないけど、そこを少し変えて、ダークな役に挑戦してみたいなと思っています。

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