思わぬ巡り合わせに直面した時は"縁がある"、関係を絶つ際には"縁を切る"などと人と人を結びつける言葉として用いられてきた、"縁"という言葉。女優・夏菜がドラマ『奇妙な恋の物語 -THE AMAZING LOVE STORY-』(スマートフォン向け総合エンタメアプリ・UULAで7月3日から配信)で主演を務めた物語「縁切り神社」は、その"縁"が絡み合う感動の恋愛模様が描かれる。DV男との関係を絶とうと、"飲むと最初に見た人を好きになってしまう"という不思議な水に頼った夏菜演じる洋子。やがてはその水の力で、彼女の運命が翻弄されていく。
「最近、縁を感じたことは?」。2006年に女優デビューし、一体どれだけの"縁"が夏菜をここまで押し上げてきたのか、本人以外には知る由もない。彼女がこちらの問いに対し、「1つには絞れない」と言いつつ絞り出したのは「朝ドラ」だった。2012年のNHK連続テレビ小説『純と愛』。ヒロインに抜てきされた夏菜は、多くの人に知られる存在となったと同時に、ヒロインの宿命である「批判の的」に。しかし、その苦悩の中で彼女は貴重な"未来の種"を手に入れていた。
夏菜 |
――おとぎ話のような物語かと思いきや、実際の恋愛にも通じる話でした。
そうですね。1話目はよくある"少女漫画パターン"って思われるかもしれませんが、最終話に近づくにつれて私も考えさせられるなというか。やっぱり、自分が感じたことがすべてで、物事の選択は自分で決めていかなければと思いました。
――何よりも印象的なのが、DV男。
やっぱり皆さんそうなんですね(笑)。
――そして、笑ってしまったのが夏菜さんの鼻血(笑)。
鼻血キャラとして定着しちゃいますかね(笑)。あれは笑わせるつもりとかはなくて、殴られたらこうなるんだろうなと思って、やったことです。撮影している最中はチェックもできなかったので、どうなってるんだろうなと思っていました。
――1回目の鼻血でまず笑って。その後は"鼻血待ち"のような期待を抱きながら見ていました。
えー! そうなんですか(笑)。私よりは、監督のこだわりですね。監督が「鼻血を出そう」って言いはじめて。でも、それがあるおかげで、この話全体が深刻になりすぎず、ライトな感じになりました。それは話し合いながら心がけていたことです。
――DV男はさまざまな作品で登場する「ダメ男の典型」ですが、本作では彼の暴力以外の良い部分も描かれています。特に夏菜さんとくすぐり合いながら仲直りするところは…夏菜さんのプライベートを垣間見ているようなリアルな描写でした。見ちゃいけないものを見ている感覚というか。
かゆい! それは恥ずかしい(笑)! 台本では確か「じゃれ合う」というようなことは書いてなくて、監督と(戸谷)公人くんと「そういう関係の2人はきっとこうやって仲直りするのがパターンじゃないか」と話し合って、決めました。だから演技自体は、ほぼほぼアドリブです。でも、そこを言われるとは思ってなかったから今すっごく恥ずかしい(笑)。あれが普段の私ではないですからね!
――分かりました(笑)。DVも実際は深刻な問題ですよね。
やぱり、母性が働いてしまうんでしょうね。殴ってから謝ってくるようなタイプだと、私じゃなきゃダメなんじゃないかみたいになるんだと思います。守りたい気持ちなんじゃないでしょうか、たぶん。本当によくない関係ですけどね。
――本作は、人と人の"縁"がテーマになっています。最近、"縁"を感じたことはありましたか。
なんだろう…縁。この仕事のすべてがご縁だと思いますし、1つに絞ってはなかなか言いにくいけれども…人を大切にすることが大事なんだと実感したのは朝ドラです。一緒に作り上げて、スタッフさんは一生懸命、私のことを守って上へと押し上げてくれて。そういう無償の愛を感じるようになってから、"ご縁"なんだと思うようになって。人との繋がりを強く感じるようになりました。
――やっぱり朝ドラの現場は独特なんですね。
東京ではなくて大阪だったせいもあるかもしれません。10カ月間、ウィークリーマンションに住み込みで。そこで寝てから撮影、寝てから撮影の繰り返し。
――夏菜さんがブログで朝ドラのことを取り上げている時は、特に長文でした。苦労もあると思いますが、多くの人から抜てきされた分、その苦労を味わえるのも名誉なことですね。
そうですね。今から2年くらい前ですけど、あの歳で人に支えられる環境ってなかなかないじゃないですか。それまではクール人間だったと思うんですけど、朝ドラを機に家族からは「人が変わった」と言われます(笑)。