女優の瀧本美織が、V6の森田剛主演の舞台『ブエノスアイレス午前零時』で、舞台デビューを飾ることが30日、明らかになった。
本作は、第119回芥川賞の受賞作で、作家・藤沢周の同名ベストセラー小説を原作とした作品。『GO』(2001年)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)、『北の零年』(2005年)などの映画を監督として世に送り出してきた行定氏が、第53回岸和田國士戯曲賞も受賞している劇作家・蓬莱竜太の脚本で舞台化に挑む。
森田が演じるのは都会からドロップアウトし、山奥のホテルで働く青年・カザマ。そのカザマが働く温泉ホテルに、社交ダンスツアーの客として老嬢・ミツコ(原田美枝子)が訪れる。彼女が語る、アルゼンチンのブエノスアイレスでの娼婦"マリア"としての過去。そのミツコの壮絶な若年時代を、瀧本が演じる。
「これまで舞台というとなんとなく自分とは程遠い、別次元の世界のものだと思っていた」と語る瀧本は、「お客さんの生の反応や、その場でしか感じられない臨場感。きっと自分の想像を越えるような世界が広がっているんだろうなと思うと、今とてもワクワクしています」と期待に胸を膨らませる。「表現するということを改めて原点に立ち返って見つめ直せるような、そんな素敵な機会をいただけた」と捉え、「私が演じる役は、みなさんが自分に持たれているイメージにはないような新しい女性像になりそうです。色んな男性を翻弄(ほんろう)する魅力を身体の内から出せるように頑張りたいと思います」と意気込んでいる。
一方、演出の行定氏は「若い男と老女との孤独な魂の邂逅(かいこう)が奇跡を起こすという、デカダンスを舞台で創り上げたいと思っています」と気合十分。瀧本の初対面の印象を「真っ直ぐで曇りのない無防備さ」と振り返り、「その純粋さに色香を注してブエノスアイレスの娼婦"マリア"を瀧本さんと共に作り上げたいと思います。初舞台にしかない、彼女のはじめての顔を観て頂きたいです」と呼びかけた。
瀧本は2010年の映画『彼岸島』で女優デビュー。同年にはNHK連続テレビ小説『てっぱん』のヒロインに抜てきされ、多くの人に知られる存在となった。さらに昨年には、宮崎駿監督の映画『風立ちぬ』でヒロイン役の声優を担当。これまでの清楚なイメージとは違った役柄で、初舞台に挑戦する。同舞台は11月28日から12月21日までは東京・新国立劇場、12月26日から29日までは大阪・シアターBRAVAで上演される。