スマホ小説投稿プラットフォーム「E★エブリスタ」の人気作品『僕と23人の奴隷』。サスペンスフルな展開が話題を呼び、1660万ダウンロードを突破し、さらに小説、漫画とメディアミックス化も話題となった本作が、『奴隷区 僕と23人の奴隷』として2014年6月28日より劇場公開される。
誰でも簡単に奴隷にすることができる器具<SCM>を手に入れた者たちの興奮、快楽、復讐、欲望。そして勝つか負けるかの極限に追い込まれた者たちの異常なまでのバトルが展開される本作は、『東京ゾンビ』を手掛けた佐藤佐吉氏が監督を担当。秋元才加と本郷奏多がW主演を務める。
そこで今回は、劇場公開にあたり、原作者である岡田伸一氏が語った作品の見どころや執筆におけるエピソードなどを紹介していこう。
原作者・岡田伸一氏が語る『奴隷区 僕と23人の奴隷』
――最初に映画化の話を聞いたのは?
岡田伸一氏「映画化の企画が進んでいるというお話は以前からほんのりと聞いていたんですけど、確定のお電話をいただいたのが、ちょうど大泉学園にあるT-JOY系列の映画館に行った帰りの車の中でした。ちょうど妻と一緒だったんですけど、それはもう飛び跳ねるように2人で喜びました。上映館もT-JOY系列だったということで、すごく縁を感じました。本当に偶々だったんですけど」
――原作を書いているときから映画などの展開は期待なさっていたのでしょうか?
岡田氏「この作品はもともと海外ドラマや連続ドラマを意識して書いた作品なので、想像したことがないというとウソになりますが、まさか映画になるとは……それも一流の役者さんに一流の監督さん……僕にとっては驚きしかなかったです」
――『僕と23人の奴隷』について、着想したのはいつ頃ですか?
岡田氏「僕は今29歳なんですけど、24~5歳のころに1カ月くらいかけて内容を練りました。でも結局、全部で24章編成なんですけど、最初と最後だけ決めて、まずは最初の2章から書き始めました」
――最初の2章はある程度出来上がっていたんですね
岡田氏「そこからの見切り発車です(笑)。この小説を書く際、まず苦しもうということを最初に決めたんですよ。24人の1人称視点での群像劇を独白形式で書くにあたり、それを自分ひとりで管理しながら書かなければならないので、かなり地道な作業になると思っていました。その当時、今でもそうですが、まだまだ自分は未熟だと思っていたので、とにかく苦しい思いをして生み出さないと、自分の糧にもならないし、読者の方もつまらないんじゃないかって気持ちがすごく強かったです」
――書き始めたころ、全体像についてはどこまで想定なさっていたのですか?
岡田氏「まず、奴隷と東京が舞台で、99%のリアルと1%のウソによるエンタメ作品を書こうと思いました。『アリババと40人の盗賊』みたいなイメージで、最終的に『僕と23人の奴隷』というタイトルにしましたが、最初は10人にしようか40人にしようかって考えていたんですよ。ただ数字にも何か意味を持たせたいと思ったところ、やっぱり東京23区をモチーフにするのがいいかなと思ったので、23人に決めました。最初に設定を考える際にもっとも時間をかけたのは、やはり『SCM』というアイテムの設定ですね。人物については、最初の2人でまず物語の概要を説明すると決めていて、それをできるだけ簡潔に伝えるというのが最初の目標でした。結末については、こうなればいいな、くらいの感覚だったので、残りの22人はほぼアドリブで書いていった感じです」