京阪電気鉄道はこのほど、2014年度の鉄道設備投資計画を発表した。「安全性の向上」「サービスの改善」を柱に約80億円を投資し、新造車両の導入、車両の美装化・バリアフリー化も実施する。

今年度から7両編成の13000系が導入されている(画像はすべて京阪電気鉄道提供)

2本柱のひとつ「安全性の向上」への投資額は約64億円。同社は環境配慮型の新造車両13000系の導入を順次進めており、今年4月に4両1編成を交野線・宇治線に、5月に7両1編成を本線に導入した。8月上旬までに、新たに7両1編成を導入する予定としている。車内照明や前部標識灯(ヘッドライト)にLEDを採用し、さらなる省エネ化を図ったことで、従来車両(2200系・2600系)と比べて約35%の電力を削減。走行騒音の低減、車いすスペースの確保、車体強度の向上も実現した。

更新後の軌道検測車(イメージ)

線路上を自走し、軌道変位を検測する軌道検測車も更新される。レールにレーザーを照射し、光学的にレールの断面や変位を検測する最新のシステムを採用することで、軌道検測データのさらなる精度向上を図る。

京阪線では、運転保安度の向上のため、新型ATS装置「多情報連続制御式ATSシステム」を導入し、2015年度からの一部稼動をめざす。新型ATS装置では、車上データベースに記憶された信号機位置や勾配などの情報と、地上装置から列車に伝送された信号現示、転てつ器開通方向といった情報をもとに、上限速度を算出して常時速度照査を行う。信号機や曲線などの情報にもとづく制御に加え、踏切やホームでの異常発生時にも対応する機能を持つという。その他、駅の耐震補強や変電所の更新も進め、安全性の向上を図る。

もうひとつの柱である「サービスの改善」への投資額は約16億円。既存車両6000系において、同社最新車両のインテリアをベースに車内を刷新(液晶型車内案内表示器や非常通報装置の設置、内装材の取替え、座席の更新、握り棒の増設など)するほか、車いすスペースやドアチャイムを設置してバリアフリー化にも対応する。今年度は6000系1編成のリニューアルを行い、その後も年に1~2編成のペースで工事を進める。2021年度に全編成(8両14編成)のリニューアルを終える予定だ。

6000系の美装化・バリアフリー化が進められる

深草駅の完成イメージ

深草駅では駅舎の建替えやエレベーターの新設、バリアフリー化設備の整備を行い、ホームも拡幅して混雑緩和と安全性向上を図る。村野駅におけるバリアフリー化設備の整備も、引き続き進められるとのこと。