朝からついつい食べ過ぎてしまう!? (写真は「ABホテル」)

主要都市から地方都市に至るまで、全国至る所でビジネスホテルチェーンの看板が多く見られ、その躍進がうかがえる。一定のクォリティを提供する安心感や、ポイントカードの利用などもあり、各地で同じチェーンを利用するといった出張族も多いのではないだろうか。

ホテルを朝食で選ぶというユーザーも多く、大手ビジネスホテル各チェーンでは無料朝食の提供にしのぎを削り「無料朝食合戦」ともいえる状況になっている。無料とはいえ宿泊料金に含まれているわけだが、有料提供するホテルとの対比という意味で「無料」という表現を各ホテルは用いている(本稿でもそれに従っている)。

ところが今、注目すべきはそのような大手チェーンに対抗すべく、様々なサービスを展開する地方のビジネスホテルなのだ。そこで今回、愛知県で見られるビジネスホテルの無料モーニングを紹介したい。

和洋選べるのは当たり前

例えば、名古屋周辺を中心に東海地方で展開している「名鉄イン」の無料朝食は、ご飯、みそ汁、ウィンナーにスクランブルエッグ、数種類のパンにスープと大手チェーンに負けないレベル。ご飯のおともに鮭フレークや、肉そぼろ、かりんこ梅などがそろっているなど、かゆいところにも手が届くサービスである。もちろん、和食のみならず洋食も展開しているので、「朝はパン派」にもぴったりである。

独立系のビジネスホテルといえば、東海市の「カトーホテル」の無料朝食は、揚げ物・煮物・魚・ソーセージ・卵焼きなど充実したラインナップとなっている。なお、夕食は5品以上のメニューが並ぶ、和洋中の定食を用意。ご飯とみそ汁は食べ放題で500円という価格がうれしい。こちらのホテルは、宿泊物が無料で利用出来るサウナ付きの大浴場も完備しており、機能的で清潔感のある客室や、充実した無料朝食とともに出張族に人気となっている。

「名鉄イン名古屋駅前」のロビー(2014年2月取材時)

夕食には丼ものなどを無料提供

種類豊富な和洋メニューを取りそろえているという意味で、名古屋の繁華街・栄の「ABホテル 名古屋栄」にも注目。パンや温かいおかずが数種類あるというのは、無料の朝食でもスタンダードとなりつつある。取材時はミートボールや鶏の唐揚げなどが供されていたが、特にスパゲティーナポリタンが人気のようだった。

「ABホテル」でも和食と洋食のメニューをバイキング形式で

ABホテルでは夕食も無料で提供

ABホテルは名古屋市以外にも愛知県で6店舗展開しているが、その多くの店舗で朝食ばかりでなく、なんと夕食まで無料なのだ(名古屋栄店・小牧店は除く)。簡便ではあるが、丼ものを中心とした夕食を宿泊者全員へ提供している。そのような利用者目線のホテルなので、もちろん朝食もお墨付きというわけだ。また、チェーン全店で大浴場を設け、中にはサウナも完備している店舗もある。大浴場の有無をホテル選びの基準にしている利用者も多く、そのようなニーズをよく捉えている小規模ホテルチェーンといえる。

※「ABホテル」の写真は2013年10月取材時のもの

筆者プロフィール : 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)

ホテル評論家、オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場からホテルや旅館を評論。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践している。著書に『ホテルに騙されるな! プロが選ぶ絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。

「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」