スマート家電という言葉が聞かれて久しい気がしますが、エアコンでも冷蔵庫でも、わざわざ対応モデルを選ぶほど遠隔操作などの付加価値に魅力が感じられないのが正直なところ。しかしこちらのLED電球「DN-11043」はちょっと違います。専用アプリを使ってiPhoneからオン/オフや調光操作が可能な、いわば"スマート電球"。外見は一般的な電球と変わらず、口金(E26)の合う照明器具に取り付ければ、いつもの照明が即スマート家電にアップデート、というわけです。
同様の製品ではフィリップスの「hue」(http://www.apple.com/s/Aa8O1r6 )が有名ですが、これに比べてDN-11043は制御用のブリッジが不要でより手軽に使えることと、値段の安さがアドバンテージ。さて、その実力は?
※写真は照明の色を正確に再現したものではありません。できる限り印象に近い色になるように努力しておりますので、ご容赦ください。
取り付けは普通の電球と同じ
LED電球は箱から出したら一般の電球と同じく照明器具に取り付けるだけ。電球側にハード的な操作は必要ないので、普段は手の届かない場所に取り付けても問題ありません。続いて、iPhoneに無料の専用アプリ「Nexturn」をダウンロードします。
無料の専用アプリ「Nexturn」 |
あとは、iPhoneのBluetoothをオンの状態にすれば準備完了です。
基本のオン/オフ操作
まずはLED電球に明かりを付けてみます。
スペック上の明るさは500ルーメンで、ほぼ40Wの電球に相当します。6畳くらいの部屋なら2~3灯あればちょうど良さそう。消費電力は7W、寿命は約2万5,000時間とのことで、ランニングコストは相当低く抑えられます。
iPhoneとはBluetoothで接続されます。家の中に複数のNexturnを設置しても、Bluetoothの通信可能な範囲内なら全てiPhone一台で操作が可能。グループ化もできるので、一つの器具に複数の電球を取り付ける場合も問題ありません。通信可能な距離を試したところ、室内なら7~8m離れて、薄い壁や部屋のドア越しの通信もできました。ただし、玄関を出ると接続不可に。金属製のドアやコンクリートには弱いようです。
これだけ通ると、隣の部屋から間違って操作されてしまう恐れがないとは言えないので、通常のBluetoothデバイスのように最初にペアリングさせる程度の手間はあっても良いかもしれません。とは言っても、iPhone上で通常のBluetoothデバイス検出画面には表示されず、専用アプリからしか操作できないので、よほど普及しない限りはそれほど心配はないのかもしれませんが。
付加機能いろいろチェック
続いて色や明るさのマニュアル操作を試してみます。オンにした電球の名前の部分をタップすると、操作メニューが表示されます。ここで任意の照明色を選択したり、様々なメニューを使うことができます。
「Scene」ではセットされたメニューから色を選べます。
この他、写真から特定の部分の色をピックアップする機能や、音楽を流すとリズムに合わせて色を変える機能などがありますが、先ごろアプリがアップデートされ、このあたりの機能がうまく動作しないようになってしまいました。現バージョンでは非対応となっています。
こうした使い勝手は、アプリのアップデートで改善が期待できる部分と言えるでしょう。調光についてはハード側の課題もあるかもしれませんが、せっかくなのでスマート電球の利点を生かして、アプリからBluetooth経由でファームをアップデートしてくれたりすると良いのですが。
ユーザー体験はインタフェースにあり
いろいろと改善の余地は見られるものの、コンセプトとしては大歓迎の一言に尽きる製品です。何より、ゴロゴロしたまま照明をオン/オフできます(これ最高)。また、本を読むなら明るく、テレビを見るなら暗くといった目的別の明るさ調整が可能で、これもまた寝たままできる。このまま布団に同化できそうです。
映画を見るなら色味を青に寄せると画面の邪魔になりにくく、目が疲れた時は暗めのグリーンにすれば、ちょっと癒された気分に。オレンジやバイオレットといった色味を日頃使うかと言われたら多少疑問ですが、パーティー気分を盛り上げたり、誰かといいムードになりたい時の演出アイテムとして活用できるかもしれません。煌々と蛍光灯が照らす部屋よりもきっと良いはずです。
ただ、こうした機能を生活の中で自然に使うとするなら、アプリのインタフェースがもう一歩追いついていない印象です。オン/オフまでのタップはより少なくしてほしいし、「Scene」のカスタムカラー追加や、任意の色変化パターンをプログラムする機能などがあれば、調光機能もより実用的に使えるでしょう。高級品の性能に全て追随できないのは仕方ないとしても、アプリの使い勝手で損をするのはもったいない。基本的な機能は普通に使えるので、今後の成長に期待したいところ。むしろ、APIを公開していろいろな開発者がNexturnのようなアプリを開発できるようにすれば、面白いアプリや独自の使い方提案が出てくるかもしれません。