ブラジルで開催中の「2014 FIFAワールドカップ」。われらがサムライブルーは日本時間25日、決勝トーナメント進出をかけてFIFAランキング8位の強豪・コロンビアと対戦する。
ただ、同時にキックオフとなるギリシャ対コートジボワール戦の結果次第では、仮に日本がコロンビアに勝利を収めても、日本の決勝トーナメント進出の望みが絶たれる。サムライブルーのカギを握るギリシャ対コートジボワール戦の行方を占う。
この試合を一言で表すと「個」対「組織」だろう。ワールドカップのヨーロッパ予選とプレーオフの12試合で6失点しかしていない「堅守」と、すばやいカウンターが持ち味のギリシャを、個人技に優れたタレントを豊富にそろえるコートジボワールが、いかに崩せるかが勝負のポイントと言えそうだ。
「エレファンツ」が誇るタレント
コートジボワールの攻撃の核となるのは、マンチェスター・シティで活躍する司令塔、ヤヤ・トゥーレ選手。188cm、90kgの巨体ながら運動量とスピードを兼ね備え、スキあらば積極的にミドルでゴールを狙ってくる。
右サイドには高速ドリブラー・ジェルビーニョ選手が控える。前回の南アフリカ大会も経験している27歳は、縦横無尽に相手陣内を駆け巡り、一度ボールを持つと相手DFを置き去りにするほどのスピードを持つ。今大会も2試合で2ゴールをマークするなど、好調を維持している。ワールドカップ予選のチーム得点王、サロモン・カルー選手も要注意だ。
そして何と言っても忘れてはいけないのが国民的英雄、ディディエ・ドログバ選手だ。日本戦とコロンビア戦はいずれも後半からの出場となったが、ピッチに現れると会場のサポーターを味方にし、試合の空気を変える力を持っている。2007年と2010年のプレミアリーグ得点王は、老獪(ろうかい)かつ力強いプレーでチームを勝利に導く。
ベテラン・カツラニスを欠くギリシャ
対するギリシャ。攻撃の要となるのは、ゲオルギオス・サマラス選手とコンスタンティノス・ミトログル選手。ミトログル選手は大陸予選の10試合で5ゴールをあげたチームの得点王で、サマラス選手は優れたフィジカルを武器にミトログル選手らにチャンスメークをし、時には自ら決めに行く。
守りの中心となるのは、センターバックのソクラティス・パパスタソプーロス選手。前回大会ではアルゼンチンの英雄、リオネル・メッシ選手を無得点に抑えこむ完璧な守備を見せた。
ただ、堅守ギリシャの次節の不安材料となるのが、重鎮コンスタンティノス・カツラニス選手の欠場だ。20日の日本戦において、イエローカード2枚で退場となったカツラニス選手は、自動的にコートジボワール戦に出場停止となる。「EURO2004」の優勝を知るベテラン不在は、チームにどのような影響を及ぼすか。
ギリシャが先制すれば日本に有利
20日の試合終了時点で、勝ち点3のコートジボワールに対し、ギリシャは勝ち点1。ギリシャは決勝トーナメントに出場するためには勝利しかない。ギリシャは今大会でいまだノーゴールだけに、コートジボワール戦はこれまでの2試合以上に積極的に攻めてくることが予想される。
仮にコートジボワールが追う展開になれば、それだけギリシャの素早いカウンターのえじきになるリスクも高くなる。それこそギリシャの思うつぼだ。それだけに、ギリシャにとっては、先制点を取ることができるかどうかが重要となってくる。
ただ、試合のターニングポイントは、英雄・ドログバ選手の投入時期ではないだろうか。36歳で体力面に不安があるためか、これまでの2試合はいずれも後半途中からの出場となっているドログバ選手。だが、どちらも登場直後に試合が動いている。
日本戦では後半17分に途中出場すると、コートジボワールは後半19分と後半21分に立て続けに得点。チームは逆転勝利を収めた。
一方でコロンビア戦では、後半15分に途中出場した直後の後半19分に、コロンビアに先制点を献上。続く後半25分にも失点を重ね、結果としてコートジボワールは1-2でコロンビア戦を落としている。結果論ではあるが、チームの精神的支柱がピッチに入り、選手たちの士気が高まった途端に失点してしまったことで、ややコートジボワールの選手が浮き足立ってしまったとも考えられる。
25日のグループリーグ最終節に、ドログバ選手がどのような形で出場するかはわからない。だが、日本は勝ち点でギリシャと並んだ方が有利なため、ギリシャが先制点をあげれば、日本の決勝トーナメント進出の可能性が少しだけ高まってくる。
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