6月21日、『富岡製糸場と絹産業遺産群』が世界遺産に登録されたことで、 「富岡」が日本の宝から世界の宝になった。昨年は『富士山―信仰の対象と芸術の源泉』が登録されたが、日本には18もの世界遺産がある。そこで今回、国内にある世界遺産をまとめてみた。
文化遺産は14、自然遺産は4
そもそも世界遺産には文化遺産と自然遺産があり、国内の世界遺産は文化遺産が14物件、自然遺産が4物件ある。国内で初めて世界遺産に登録されたのは1993年のこと。この年に、『法隆寺地域の仏教建造物』『姫路城』(ともに文化遺産)と、『屋久島』『白神山地』(ともに自然遺産)の計4物件が登録された。国内の世界遺産は以下の通りである。
1993年
『法隆寺地域の仏教建造物』(文化遺産) 奈良県
『姫路城』(文化遺産) 兵庫県
『屋久島』(自然遺産) 鹿児島県
『白神山地』(自然遺産) 青森県・秋田県
1994年
『古都京都の文化財』(文化遺産) 京都府・滋賀県
1995年
『白神郷・五箇山の合掌造りの集落』(文化遺産) 岐阜県・富山県
1996年
『原爆ドーム』(文化遺産) 広島県
『厳島神社』(文化遺産) 広島県
1998年
『古都奈良の文化財』(文化遺産) 奈良県
1999年
『日光の社寺』(文化遺産) 栃木県
2000年
『琉球王国のグスク及び関連遺産群』(文化遺産) 沖縄県
2004年
『紀伊山地の霊場と参詣道』(文化遺産) 和歌山県・奈良県・三重県
2005年
『知床』(自然遺産) 北海道
2007年
石見銀山遺跡とその文化的景観(文化遺産) 島根県
2011年
『平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群』(文化遺産) 岩手県
『小笠原諸島』(自然遺産) 東京都
2013年
『富士山―信仰の対象と芸術の源泉』(文化遺産) 静岡県・山梨県
2014年
『富岡製糸場と絹産業遺産群』(文化遺産) 群馬県
こうして見てみると、北海道・東北には3物件、関東には3物件、中部には2物件、近畿には5物件、中国には3物件、九州には2物件あること分かる。
2015年は九州・山口のあの遺産が仲間入り!?
世界遺産には「暫定リスト」というものがあり、世界遺産はこのリストの中から審議していく。現在、国内の暫定リストには平泉の拡張も含めて11物件(全て文化遺産)が掲載されており、2015年には「明治日本の産業革命遺産 九州・山口の関連地域」の審議が予定されている。暫定リストに掲載されている物件は以下である。
「武家の古都・鎌倉」(文化遺産) 神奈川県
「彦根城」(文化遺産) 滋賀県
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(文化遺産) 長崎県
「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」(文化遺産) 奈良県
「国立西洋美術館本館」(文化遺産) 東京都
「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(文化遺産) 北海道・岩手県・秋田県・秋田県
「明治日本の産業革命遺産 九州・山口の関連地域」(文化遺産) 山口県・福岡県・長崎県・佐賀県・熊本県・鹿児島県・岩手県・静岡県
「宗像・沖ノ島の関連遺産群」(文化遺産) 福岡県
「百舌鳥・古市古墳群」(文化遺産) 大阪府
「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(文化遺産) 新潟県
「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―(拡張)」(文化遺産) 岩手県
今回、世界遺産入りを果たした「富岡」は、昨年登録された「富士山」に比べると若干地味な印象を受けるかもしれない。しかし、今まで貴族階級のものであった絹をより広く世界中に広めたという文化的な価値のみならず、明治時代の建造物がこうもいい状態で保存されているという点で、後世に残すべき2つとない遺産である。今後、世界遺産が待たれる日本の遺産も含めて、国内の世界遺産めぐりはいかだろうか。
取材協力: 世界遺産検定事務局