JR西日本の6月定例社長会見にて、広島地区へ投入される新型電車、227系近郊形直流電車についても言及されている。今年度は43両、2018年度までに計276両(3両編成64本、2両編成42本)を投入するという。
227系はJR発足以来初、国鉄時代にさかのぼっても約30年ぶりの新型電車となる。会見では、227系の車両デザインについて、「近畿圏で新快速などとして走行している225系をベースに、室内、室外とも赤を基調にコーディネート」したと説明。厳島神社の大鳥居、広島県の木であるもみじ、地元球団の広島東洋カープなど、「広島らしさを象徴する親しみを感じさせる色」として、赤が採用された。
同車両はJR西日本が開発を進めてきた「新保安システム」を初めて取り入れた車両でもある。信号機の位置や速度制限箇所、制限速度、ホームの形状など、固定の情報をあらかじめデータベースとして車両に登録し、地上側から得られる変動する情報(信号機の現示、列車の進行ルート、列車の位置など)をもとに、列車の制御を行う。このシステムにより、既存のATS(自動列車停止装置)の機能に加え、さまざまな運転支援機能も実現。「停車駅での停止位置の大幅なずれの防止」「ホームのない側のドアが誤って開くことの防止」などにも役立つという。
この「新保安システム」は2008年から開発が始まり、2011年から実際の車両を用いて走行試験が行われた。実用化のめどが立ったことから、車上装置を搭載した227系が投入されることに。今後は山陽本線白市~岩国間で地上側の設備を整備し、順次使用開始するほか、近畿エリアへの展開も見据えて開発に着手する。会見では、227系に関して、「新保安システムの整備を確実に進め、お客様に安心、信頼していただき、地域の皆様にも愛着を持ってご乗車いただけるような電車になれば」としている。