世界中で加速する産業機器分野以外に向けたロボット開発
また、ロボット市場についてのアスラテックの見解も示され、2020年ころから立ち上がると予測しているという。ただし、その前触れ的にこの半年は世界レベルでロボットの開発加速が進んでいるのを強く感じていると、吉崎氏は語っている。トピックを挙げれば、Googleのロボット事業参入(東大ベンチャーSHAFTなどの買収)、日本主導による生活支援ロボットの国際規格の策定、インテルの2足歩行ロボットの公開、政府の「ものづくり白書」でのロボット活用の提言、そして「Pepper」の発表、さらに今回という具合だ(画像28)。
現状、市場はまだまだなわけだが、ロボットの性能が高くなってくれば確実に市場が形成されるという見込みが世界的に強まってきているらしく、その時に備えて今からきちんと開発をしておこう、というのがここのところの流れだろうと吉崎氏は語る。そうしたロボット開発競争において、勝ち抜くための力の1つとなるのが、V-Sido OSだとした。
なおロボットの開発においては、ソフトウェア面ではAI、制御、OSなど、ハードウェア面ではサーボ、センサ、各種機構などがあるわけだが(画像14)、現状、それらすべてがそろっていないと開発できないし、またすべてがそろっている企業は世界的に見てもそう多くは存在しない。AIができるからロボットができるかというともちろんそうではなく、モータの特性、ボディなどのデザイン面もわかっていないとならない。では、モータを20個つなげられればロボットを作れるかというと、それもまた無理な話。これがPCのようにきちんと規格が定まってくると、パーツごとに専業で製造メーカーが存在するようになるところまで行くのだろうが、そうはなっていないのが現状だ。ただし吉崎氏は、ロボットに関してもそうなってくるだろう、そうなっていくべき、としている。
V-Sido OSの目標だが、2020年ころに市場が立ち上がってきた時点で、導入数ナンバー1(シェア50%以上)を目指したいという。そのほか、V-Sido CONNECTを含めたロボットキットなどに対してもアスラテックとしては非常に興味があるが、自分たちはあくまでもソフトウェアメーカーなので、そういうキットを作りたいという企業があれば、協力していきたいとしている。
V-Sido OSの特徴や、V-Sido CONNECT、ASRA C1なども紹介させてもらったが、V-Sido OSがロボット開発を変えそうな雰囲気を理解してもらえただろうか。V-Sido OSがロボット開発をどう変えるか、今後に期待しよう。また、いうまでもないことだが、今後、ロボットに関してはソフトバンクグループはさらに目を離せなくなっていく存在になる可能性が高く、注目しておくべきだろう。