V-Sido OSがロボットの新たな可能性を切り開く!?
V-Sido OSの柔軟性と懐の深さは、ロボットの開発や制御に関する話だけではない。ロボット開発を促進するための取り組みとしても考えられる。どういうことかというと、ロボットを開発したいと思っても、開発のためには、ハード、ソフトを統合した総合力が必要となり、両面ともにさまざまな知識が必要となる(画像14)。その大変さをもっと減らしたいというのが狙いだという。
例えば、ロボットを開発したいと考えている、スマホのアプリケーションなどを作っている知能開発系の企業と、重機などを製造してきた機械開発系の企業の2社があったとする。知能開発系としてはハードのことはまったくの門外漢だし、逆に機械開発系企業がいきなりソフトの世界に飛び込んでも対応は難しい。そうした時に、2社をつなぐ役割を果たすのが、V-Sido OSというわけだ(画像15)。こうして2社がV-Sido OSを介して協業することで、もしかしたら従来にないロボットが誕生するかも知れない可能性が生じるのである。
画像14(左):ロボットを開発するには、大まかな分類としてもこれだけの分野の知識や技術がいる。画像15(右):V-Sido OSを介することで、ソフト系とハード系の企業が手を取り合って新たにロボット開発を行うことが可能になる |
ちなみに吉崎氏は今後のロボットに関する世の中の展開として、ロボットをコントロールする知能の側でクラウドAIが来るだろうとする。今やあらゆるものがインターネットとつながっているわけで、そんな時代にロボットがインターネットにまったくつながらないということはあり得ない。そんな状況においては、ロボットはインターネットを介したシステムの一部であることや、ヒト用のクラウドサービス、今後出てくるであろうロボット用のクラウドサービスなどのとの連携が強く求められるようになっていくとする。
実際、画像認識や音声認識、言語処理、発話など、クラウド上で実行するAPIがすでに多数あり、それらはロボット用というわけではないものの、今後アスラテックとしてもそれらにも積極的に対応していきたいという。具体例を挙げると、系列会社のヤフーのクラウドサービスなどとも強く連携していきたいとした。また、Pepperのようなロボットに感情を持たせるような技術と連携させるということも考えられるとしている。
続いて、機械側とどのような連携が可能かという話となった。いうまでもなく、ロボットの大半はサーボで駆動しているわけだが、そのサーボの開発企業もV-Sido OSへの対応済みか、対応を進めている段階で、前述したG-ROBOTSに使用されているサーボモータを提供している双葉電子工業、6月下旬から小型ロボット「DARWIN-MINI」(画像16)の国内販売がスタートする韓国ROBOTISはすでに対応済みだ。さらに、今後の新型サーボから対応させるとしているのが「KHR-3HV」などのホビーロボットでお馴染みの近藤科学で、総合モータメーカーの日本電産は今後の製品から対応としていくとしている。
こうして、V-Sido OSを導入することで複数の企業がロボット開発において競業することで、企業が得られるメリットとしては、開発コストの削減、開発スピードのアップ、開発の柔軟性、V-Sido OSに対応した時点でさまざまなクラウドサービスを利用できることなどとした。
次に紹介されたのが、V-Sido OSを採用、もしくは採用の検討をしている企業だ。前述したアルデバラン・ロボティクスや建機操作ロボットの富士建、I-Fairyのココロのほか、パワードスーツの開発を行っている佐川電子(詳細は未定)、変形合体ロボットの開発を行っているブレイブロボティクス(現在、アスラテックと共同で1m大のロボットを開発中)、バンダイグループの玩具メーカーのメガハウス(開発検討中)といった具合だ。
ちなみに、アルデバラン・ロボティクスのロボットはV-Sido OSに対応できる状況となっており、今後は連携を強めていくとしている。現状でPepperはアルデバラン・ロボティクスのシステムで完結しているが、V-Sido OSの技術の一部はすでに実装されているとした。よって、V-Sido OSにシームレスにつなげることが可能になるという。