V-Sido OSを使いやすくするツール「V-Sido CONNECT」
そして続いては「V-Sido CONNECT」について(画像12)。STMicroelectronics製32ビットARMマイコン「STM32F1」を搭載したコントロールボードで、これに後は電源と、必要な個数のシリアルサーボをつなげば、V-Sido OSで動作するロボットを製作することが可能となる。V-Sido CONNECTはV-Sido OSをより使いやすくするためのツールであり、販売開始後はアスラテックの主力商品の1つになるのだが、どちらかというと、V-Sido OSの良さを実感してもらうための評価基板に近い位置付けだという。年内の発売を予定しており、価格は未定だが、同社事業企画本部シニアマネージャーの羽田卓生氏(画像13)によれば、「1万円は切りたい」としている。
画像12(左):V-Sido CONNECT。年内の発売を予定。画像13(右):事業企画本部シニアマネージャーの羽田氏は、V-Sido CONNECTの価格について1万円を切りたい、としており、個人ユーザーも手を出しやすい |
V-Sido OSはヒトの脳でいうところの運動を司る小脳に当たり、それはV-Sido CONNECTでも同様だ。V-Sido OSの一部、ロボットの運動神経の部分だけを抜き出したような機能が搭載されている。さらにV-Sido OSを組み合わせれば、PCなしでもロボットを動かすことが可能だ。実際に動画で見ていただいた通り、かなり優秀な動きを見せるASRA C1だが、こちらはV-Sido CONNECTとV-Sido OSの組み合わせのみで動作しており、PCは搭載されていない。
V-Sido CONNECTは、プログラムの知識が多少なりともあれば、ロボット製作の初心者でも簡単に扱えることが特徴の1つである。Windowsやスマホ上でプログラムを書いて、比較的簡単にロボットを動かせるようになるという(例えば歩かせるようなプログラムの場合なら10行程度)。もちろん、V-Sido OSを併せて利用する方がよりロボットの機能を上げることが可能である(前述したようにASRA C1と同等のことはできるようになる)。
V-Sido OSと併せたV-Sido CONNECTのターゲットは「ロボット開発用途」ということで幅が広く、個人に始まって、研究所、製造企業、IT企業、教育機関など多数に及ぶ。ロボットの開発者すべてがターゲットになるというわけだ。なおアスラテックがロボット開発を行うのではなく、ロボット開発を行いたい企業にV-Sido OSやV-Sido CONNECTといったツールを提供し、そのほかアドバイスなどで協力してロボット開発を共に行っていきたいとしている。V-Sido CONNECTのスペックは以下の通りだ。
- CPU:32ビットARM(STM32F1)
- サーボ用ポート:RS-485×1、TTL RS-232C×1
- 通信用ポート:TTL RS-232C×1(SBDBTによるBluetooth化が可能)
- センサ用ポート:I2C×2(ジャイロ、発話ICなど用)、汎用I/O×4(デジタルI/OまたはA/Dコンバータ)
- 電源電圧:DC3.3VまたはDC5~12V
- 基板サイズ:36mm×33mm
- 発売時期:2014年内
- 価格:未定(1万円以下を目指している)
またV-Sido OS並びにV-Sido CONNECTの提供方法だが、V-Sido OSは現在も個人向けにはG-ROBOTSのみだが無償提供されているが、ロボット開発を行いたい企業に対してロボット製品ごとにカスタマイズしてライセンス提供する形と、V-Sido OSを実装したマイコンボードの開発協力などを行うとしている。このライセンス提供によるロイヤリティが収益の最も大きなものになるだろうとした。
一方のV-Sido CONNECTは、ロボットの開発企業・研究機関などに向けてV-Sido OSの評価ボードとして販売するのは前述した通り。個人ユーザー向けにホビーロボットのコントロールボードとしても販売していくしている。確かに1万円以下なら個人でも買いやすいだろう。なお、どのぐらいの収益が見込めるかに関しては、市場がまだ立ち上がる前の状況なので、予測ができていないとした。