人とロボットをつなげるOS=「V-Sido OS」

それでは、V-Sido OSの特徴を見ていこう。3つあり、「人の意図が伝わるロボット」を実現するための「リアルタイム性」、「人にとって安全なロボット」を実現する「安定化」、「人が使いやすいロボット」を実現する「効率化」である。すべて「人」が入っているように、V-Sido OSは「人とロボットをつなぐOS」としており(画像7)、それを実現するのに必要なのがこれら3要素というわけだ。アスラテックはV-Sido OSを通して、「ロボットとヒトが共存する社会」を目指しているのである(それをまとめたのが動画2)。

画像7。V-Sido OSは3つの特徴からなる

動画2。V-Sido OSの紹介イメージ動画

3要素についてもう少し詳しく説明すると、まずリアルタイム性は、ロボットの制御において外乱に強く、環境の変化にも強いことに加え、ヒトが思った通りに動かせるということを意味する。V-Sido OSを使えば、そのツール内においてマウスでCGを動かすだけでそのままリアルタイムに全身の動きを生成でき、目的のロボットを動かせるという具合だ(動画3)。そのほか、マイクロソフトのKinectなどのモーションセンサを利用して、ヒトの動作をマスター・スレーブ的にコピーさせるといったことも可能である(動画4)。

動画3。マウスによる全身操作など、V-Sido OSの特徴を見られる

動画4。Kinectを用いてヒトの動きをロボットにコピー

そして安定化は、ロボットが何かの動作を行った時に転倒しないようジャイロセンサなどを利用して重心の自動補正を行ったり、「両足を上げる」という間違えた命令を実行したりしないようにする仕組みだ。大ぶりなアクションをしても、普通に立っていられる様子が、動画5である。転倒の防止に関しては、自己姿勢からリアルタイムに重心とZMPを計算して、転倒しない姿勢に自動的に補正をするようになっている。前述したように、従来のモーション作成の方法だと、決まった動作を再現するだけなので、想定していた床面の摩擦係数が異なってしまうだけで、足を取られて簡単に転んでしまうことが起きるのである。

3つ目の効率化は、ユーザーの思い通りに安定して動くことだけでなく、使い勝手の良さという点から、「最低限の命令で動作する」という簡便さを意味したものだ。例えば、食器を洗ってもらうことも可能な家事ロボットがいたとした場合、いくら安定してリアルタイムで動かしやすいといっても、毎回食器の洗い方を教えていたのでは面倒極まりない。よって効率化とは、「食器を洗ってくれ」と命令したら、細かいことは指示しなくても食器を洗ってくれるようなイメージといえばいいだろうか。または、手先の動かし方だけを教示したら、全身のそのほかの動きは自動的に生成してくれるような仕組みという具合だ。その応用として、座っているロボットの手を引くと、そのまま立ち上がる、ということができる(動画6)。この効率化という面に関しては、非常に幅の広い利用が可能なため、今後のV-Sido OSの開発において実現していくべきこと、とした。

動画5。オートバランサが働いて転倒しない様子

動画6。手を引いただけで、ロボットを自動的に立ち上がらせることが可能