2016年度の就活は開始時期が遅くなり、2015年3月からのスタートになります。つまり、それは学生が選考開始までにできることが増えるという意味でもあります。

「OB訪問」で失敗してはやっていられない

そこで増加が予想されるのが「OB訪問」。

今回は入り口となる「OBへの依頼」で失敗しないために注意したいポイントを紹介します。たかだかOB訪問でけつまずいていたら、この先の就活なんて、とてもではありませんが、やっていられません。幸先よく、行きたいですね。

手軽な「依頼メール」に心を閉ざすOBは多い

まずOB訪問には大きく分けて2種類があります。

1つ目が個人的なコネクションを利用するOB訪問。ゼミやサークルなどの先輩で既に就職した人、もしくはその知り合いに直接アプローチするなどの方法があります。個人的なつながりの範囲内で行われるため、最低限の配慮さえすればさして問題にはならないでしょう。

問題は2つ目、大学の就職課などを利用するOB訪問です。

大学によっては就活レポートなどを内定者が残し、それを閲覧できます。その内定者がOB訪問を許可していれば連絡先が記載されていて、連絡をとることができます。

このとき、ぜひ注意してください。
ムカつかれたら、もう何にもなりません。

そもそも論で、OBとしてはたとえ大学の後輩であろうが外部の人間です。まともな社会人性を有する人間であれば、あけすけに社内の様子や自分の考えなんて話しません。

どんなに過酷で下劣な職場であろうが「やりがいは、すごくあるよね」と言い、人間関係が殺伐として乾いた風が絡んでいたとして「ストイックな人たちが、多いよね」と言います。

ムカつかれたら、もともと制限されている情報が、さらにがっつりと抑制されます。というより、受け付けてもらえないかもしれません。ですから依頼メールは手軽に出すことができますが、細心の注意を払うべきです。

あり得ないメールを紹介

(1)がっつりと質問を載せている
依頼メールですから、まだ受け付けてもらっていません。男女関係でもそうですが、先走った結果に待つのはバッドエンドです(書いていて心の古傷がうずいています)。

(2)会社の事業などを全然調べていない
業界や名前でしか興味を持っていないことがバレバレです。人気業界や人気企業の人であれば、この手のメールは山ほど来るわけで、敏感に反応します。自分のメールで読んだOBが心を動かされるのか考えてください。

(3)大学の近くを指定してくる
これは僕個人の体験でもありますが、なぜ大学の近郊にOBも住んでいると思い込んでいるのでしょうか。いかに僕がひきこもり気質で変化を嫌うとしても、一応は社会生活を営んでおるのです。

(4)所属や名前を書かない
これも経験したことがありますが「いや、誰やねん!」と思いました。何ならちょっと怖かったです。

(5)いきなり時間帯を提示してくる
最初に送ったほうがやり取りが少なくて効率的なのは分かりますが、会社員になってから同じことを例えば新規の営業先にやったりしたら上司にボコボコにされますよ。

(6)聞きたい内容が就活ノウハウ
「就活本、読めや。就活アドバイザーじゃねーよ」と思われます。その人にしか聞けない情報を求めるのがOB訪問であり、最終的にその話題に行き着くのは大いに結構ですが、メインとするのは失礼です。

(7)メールを返すのが遅い
お願いをしている立場なんですから、すぐ返す! すぐ!労働によって日々の生活の要素を削り取られて心身ともに疲弊している社会人のせっかちさをなめてはいけません(一部の人ですが)。

(8)コピペ感が満載
バレます。やめましょう。

逆に、やってもいいこと

一方、逆にあまり気にしなくてもいいこともあります。

妙に社会人ぶったビジネスメールみたいなものを作ろうとする人はとても多いですが、あまり気を割かずとも構いません。丁寧に越したことはありませんが、それよりも感謝と情熱を込めてしたためた文面のほうが、よっぽどもらったOBはうれしいですし、協力しようという気になります。

・その会社のどこに興味を持っているか
・その会社に対する自分が持つこれまでのストーリー性
・そのOB個人を相手にして、何を知りたいのか
・就活に対する気持ち
・時間を割いてもらう恐縮さと感謝

そういった要素を込めてください。

自分をただの就活生ではなく、入社を熱烈に希望する一人の人間として見せると、人は心を動かされます(ですからストーリー性などは重要です)。

また、質問したい内容の予告をするのも良いです。自分がそれまでに調べて生まれた疑問などを簡潔にまとめていれば、情熱も伝わります。

OB訪問はOBの慈善心によって行われる

忘れてはいけないことは、OB訪問はOB側の慈善心によって行われることです。就活生側が提供できることなんて何もないはずです(あったら素晴らしいです)。

丁寧に、無礼のないようにするのは、これから社会人になる人間としても必要です。

※画像は本文とは関係ありません


>武野光
>平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。マイナビ2016でも、マンガ『キミ! さいよー』(石原まこちん/小学館)内で、一言コラム平成ベビーの就活用語辞典掲載。