スマートフォンで注目を集めているのが、キャリアが新たに導入した"音声通話定額プラン"だ。NTTドコモが6月1日より国内の音声通話を定額とする新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」を提供開始したのに続き、ソフトバンクも7月1日より同様の新料金プラン「スマ放題」を提供する予定で、キャリアのスマートフォンでは今後、音声通話定額プランが基本となりそうだ。
しかし、音声通話が定額になることでメリットを受けられる人がいる一方、そこまで頻繁に通話を利用しない人にとっては現行プランよりも割高になる可能性がある。もちろん、新料金プランが開始しても現在契約しているプランを変える必要はないが、今後、MNPなどで新規契約する際には、音声通話定額プランしか選べないことに不満を感じる人が出てくるかもしれない。
そこで、キャリアの音声通話定額プランに代わる選択肢となるのが、最近話題の格安SIMサービスだ。とりわけ、音声通話機能付きの格安SIM(音声通話SIM)であれば、キャリアのスマートフォンとほぼ同等に利用でき、月額料金を格安に抑えることができる。本稿では、音声通話SIMの活用について解説するとともに、音声通話SIMの通話料節約に役立つサービス「G-Call」を紹介していきたい。
キャリアの音声通話定額プランは本当にお得?
まず、キャリアの音声通話定額プランについて簡単におさらいすると、ドコモやソフトバンクの新料金プランでは、国内の音声通話が定額になることと、パケット通信のデータ量を家族で分け合えることがポイントとなっている。また、ソフトバンクの新料金プランは、音声通話定額を先行して導入したドコモのプランとほぼ同様の内容になっており、料金面では大きな違いは無いと言える。
両社の新料金プランでは、音声通話を頻繁に利用する人や、家族でデータ量を分け合う人にとっては、現行プランよりもお得になる可能性があるが、個人で利用していて、音声通話をそれほど使わない人であれば、逆に割高になる場合もある。
具体的な月額料金を見てみると、スマートフォンの音声通話が定額になる基本プランが2,700円、データプランでは最も安い月間2GBのプランが3,500円、さらにISP使用料として300円が加わり、合計6,500円が個人で利用する場合の最安月額料金となる。なお、上記はいずれも税抜のため、税込では月額7,020円。音声通話が定額で利用できるとはいえ、あまり通話しなかった月でも一律で月額7,000円以上になるのは、かなり高く感じられるのではないだろうか。
さらに、ドコモでは従来のプランである「タイプXi」「タイプXiにねん」の新規受付を2014年8月31日をもって終了することを予告しており、今後はスマートフォンを新規契約する際に、音声通話定額プランしか選択できなくなる可能性もある。通話をあまり利用しない人や、月によって通話時間に変動がある人にとっては、憂慮すべき状況と言えるだろう。
MVNOの音声通話SIMなら、低料金でスマホを運用できる
月額料金が7,000円以上かかるキャリアの音声通話定額プランにメリットを感じない人にとって、選択肢となり得るのがMVNO(仮想移動体通信事業者)が提供する格安SIMサービスだ。格安SIMサービスでは、データ通信専用SIMを中心に様々なサービスが展開されているが、音声通話機能を備えた音声通話SIMの提供も増えてきている。
これらの音声通話SIMでは、090/080/070番号を使った音声通話が可能で、端末さえ自身で用意すれば、キャリアのスマートフォンとほぼ同等に利用することが可能だ。また、端末と音声通話SIMをセットで提供するサービスもあるほか、MNPに対応するサービスであれば、現在キャリアのスマートフォンで使っている電話番号をそのまま移行して利用することができる。
音声通話SIMの月額料金は各サービスやプランごとに異なるが、たとえば、U-NEXTが7月に提供予定の音声通話SIMサービス「U-mobile」では、月間3GBのデータ通信が利用できる「スタンダードプラン」の月額料金は1,980円(税込2,138円)。同サービスは、NTTドコモのLTE網に対応しているため、利用エリアはドコモのスマートフォンと同様だ。
前述のキャリアの音声通話定額プラン、月額6,500円(税込7,020円)と比較すると、その差は歴然で、税込料金では4,882円も割安だ。しかも、月間に利用できるデータ量はU-mobileのほうが1GB多くなっている。
もちろん、音声通話定額プランとは異なり、U-mobileは音声通話定額ではないため、通話発信するごとに30秒20円(税込21.6円)の通話料がかかる。しかし、仮に月間に100分の通話を利用したとしても、利用料金の合計は税込6,458円となり、キャリアの音声通話定額プランよりも500円以上安くなっている。
通話サービス「G-Call」で通話料をお得に
音声通話SIMは、通話をそれほど頻繁に利用しない人にとっては、キャリアの音声通話定額プランよりも優位と言えるが、さらにお得に音声通話SIMを利用したいときにおすすめなのが、格安通話サービスの「G-Call」だ。
G-Callは、通話発信する際に、相手の電話番号の前に4桁の番号を付加することで、30秒10円という格安な通話料で電話をかけられる通話サービス。音声通話SIMの30秒20円(税込21.6円)という通話料の半額で、しかも国際回線を利用しているため消費税は非課税となる。消費税8%の付加がないため、実質半額以下での通話が可能だ。
スマートフォン向けには専用アプリが用意されており、アプリから通話発信することで4桁の番号を自動で付加して電話をかけることが可能。利用にはあらかじめ申込みが必要となる。
なお、G-Callは、「050 plus」などのIP電話アプリとは異なる。IP電話アプリがパケット通信を利用するのに対し、G-Callでは電話回線を利用した通話となるため、通話品質はスマートフォンの通常発信と同様で、音声の遅延も少ないのが特長。また、通話相手には、音声通話SIMの090/080/070番号が通知され、相手に気付かれることなく通話料だけを格安にすることができる。
G-Callの月額基本料や初期費用は無料となっているため、通話時間が多かった月も少なかった月も、使った分だけ30秒10円という通話料を支払えばよい。
たとえば、前述のU-mobileのスタンダードプランでG-Callを利用した場合、全く通話発信しなかった月の利用料金の合計は税込2,138円のまま変わらない。また、月間に100分の通話を利用したとしても、利用料金の合計は税込4,138円で、音声通話SIMの通常発信を利用するよりもお得になるのはもちろん、キャリアの音声通話定額プランと比べれば、3,000円近くも安い。
音声通話をあまり利用しない人にとって、音声通話SIMとG-Callという組み合わせが、いかにお得であるかお分かりいただけるだろう。
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本稿でも紹介した通り、ドコモとソフトバンクが相次いで発表した音声通話定額プランは、音声通話を頻繁に利用する人にとってはメリットがあるが、あまり通話しない人にとっては逆に割高になる可能性がある。そこで検討したいのが、低料金でスマートフォンを運用できる音声通話SIMだ。さらに、30秒10円という格安の通話料で電話をかけられる通話サービスのG-Callをを併用すれば、より低料金での運用が可能になり、キャリアのスマートフォンの代替手段として、有力な選択肢になりそうだと言える。キャリアの音声通話定額プランにメリットが感じられない人は、ぜひ検討してみてはいかがだろうか。