南海電気鉄道はこのほど、泉北高速鉄道を運営する第3セクター・大阪府都市開発(OTK社)の株式取得に関する大阪府議会の議決が得られたことを受けて、OTK社の今後の経営方針や運賃値下げについて発表した。

南海高野線を走る泉北高速鉄道7020系

OTK社は南海高野線と相互直通運転を行う泉北高速鉄道の運営のほか、トラックターミナルや流通倉庫などを物流事業者に賃貸する事業も展開している。資本金は40億円、2014年3月期の連結売上高は151億2,100万円、連結営業利益44億5,300万円。株式の49%を大阪府が所有している、その他の株主は、大阪ガスと関西電力が各18%、りそな銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行が各5%。

南海電鉄は7月1日に大阪府が保有するOTK社の株式を750億円で取得する予定。各社が保有するOTK社の株式も同時期に取得し、同社を子会社とする。

南海電鉄は今回の発表で、「(OTK社の鉄道・物流)両事業の社会インフラとしての重要性を十分に認識し、利用者、社会の信頼にお応えできるよう、重大な責任感を持って、真摯に経営に取り組む所存です」と経営の考え方を表明。中でも鉄道事業については、運賃値下げなどの利便性向上策を通じて、泉北ニュータウンをはじめとする沿線活性化に貢献する一方、南海グループとの連携によるスケールメリットを発揮し、駅ナカビジネス拡充などの増収策とコスト削減策によって強じんな事業構造の構築を図るとした。

運賃値下げとしては、南海線と泉北線の乗継運賃を現行の20円割引から100円割引に拡大する「乗継割引の拡大」と、通学定期の割引率引上げを実施する考え。泉北高速鉄道の通学定期の割引率は現行約60%だが、これを約70%へ引き上げ、利用者の実質負担を約25%値下げするという。