シャープは6月10日、同社が1988年に開発した「テレビ用14インチTFT液晶ディスプレイ」が、「IEEE マイルストーン」に認定されたと発表した。家庭用テレビのブラウン管から液晶への置き換えなど、液晶産業の発展に大きく貢献したことが評価された。

IEEEは電気・電子・情報・通信分野における世界最大の学会。IEEE マイルストーンは、開発から25年以上が経過した技術を表彰する世界的に権威ある制度で、社会や産業の発展に多大な貢献をした技術に贈られる。今回認定を受けたテレビ用14インチTFT液晶ディスプレイは、TFT液晶ディスプレイにおいて3インチクラスが主流だった1988年に、ブラウン管に匹敵するサイズを実現したもの。これにより、各社によるTFT液晶の技術開発が加速し、その後のパソコン用モニター、液晶テレビ、スマートフォンなどTFT液晶を搭載する製品の開発へとつながったことが評価された。

同日、大阪府内において贈呈式が開催された。式には、IEEE次期会長のハワード・ミッケル氏、関西支部長を務める小野寺秀俊氏(京都大学大学院教授)、シャープ代表取締役社長の高橋興三氏が出席。式の冒頭で、ミッケル氏は「この開発が全てを変えた。これは、社会の利益を追い求めて技術の進歩に勤しんだ多くの技術者たちの努力の賜物であり、長年にわたる技術革新の積み重ねによるものである」とコメント。高橋社長は「テレビ用14インチTFT液晶ディスプレイはディスプレイの歴史を変え、液晶産業の発展の礎となる、正にマイルストーンの名に相応しい技術開発だ」と、同技術の意義を強調した。

大阪府で開かれた贈呈式の様子

なお、シャープは2005年に「電卓の先駆的開発」、2010年に「太陽電池の商業化および産業化」でIEEE マイルストーン認定を受けており、今回が3件目となる。同一の個人、団体で3件の認定を受けるのは、国内ではシャープが初となるという。