MVNOサービスを展開するU-NEXTは5月30日、音声通話機能付きSIMサービス「U-mobile」を7月中に提供開始することを発表した。あわせて、格安なSIMロックフリースマートフォンの取り扱いを開始し、SIMサービスのU-mobileとセットで提供していく。同サービスは7月1日より予約受付を開始する予定だ。

様々なMVNOサービスが登場し、"格安スマートフォン"が脚光を浴びるなか、今回の発表で注目すべきは、「ダブルフィックス」などのユニークなプランが特長のU-mobileが090番号等の音声通話に対応したことと、ハイスペックなファーウェイ製「Ascend(アセンド) G6」、より安価なプラスワン・マーケティング製「freetel priori」の2つの端末が提供されることだ。

本稿では、U-mobileの特長を詳しく解説するとともに、どんな人にオススメできるサービスなのかを考えてみたい。

音声通話機能付きSIMサービス「U-mobile」とは?

U-mobileは、U-NEXTがMVNO方式で提供するモバイルデータ通信サービス。NTTドコモのXi(クロッシィ)回線に対応し、下り最大150Mbps/上り最大50Mbpsの高速通信が利用できるほか、090/080/070番号を使って音声通話することも可能だ。

これまでのデータのみの料金

ダブルフィックスプラン 1GB以下:680円 1GB超:1980円
スタンダードプラン 1680円

U-mobile(音声+データ通信:ダブルフィックスプランの場合)

データ通信 ダブルフィックスプラン 1GB以下:680円 1GB超:1980円
音声 基本料金 980円
合計 1660円 2960円

U-mobile(音声+データ通信:スタンダードプランの場合)

データ通信 スタンダードプラン 1680円
音声 基本料金 980円
合計 2660円 → 1980円

※両プランとも月間の通信量が3GBを超えると通信速度が最大128kbpsに制限される。

同社ではこれまで、月額680円(以下、金額は税抜)から利用できるモバイルデータ通信サービス「U-mobile*d」などを提供してきたが、今回新たに音声通話に対応したモバイルデータ通信サービスとして、U-mobileが提供される。音声通話の基本料金は月額980円で、通話するごとに20円/30秒がかかる。

U-mobileの料金プランは、音声通話の基本料金を含んだ金額となっている。2段階定額制の「ダブルフィックスプラン」では、月間の通信量が1GB以下で月額1,660円、1GB超で月額2,960円。また、定額制の「スタンダードプラン」は、どれだけ通信しても月額1,980円となる。なお、両プランとも月間の通信量が3GBを超えると通信速度が最大128kbpsに制限される。

U-mobileの特長は、090番号等の音声通話に対応したSIMサービスながら、高速通信を最大3GBまで利用できる点だ。そのため、データ通信をそれほど使わないユーザーであれば、キャリアのスマートフォンとほぼ同等に使うことができ、なおかつ低料金で運用することが可能だ。音声通話用のフィーチャーフォンと格安スマートフォンを2台持ちしたりする必要なく、U-mobileに1本化することができるだろう。

もちろん、U-mobileではSMSも利用することが可能。また今後、他キャリアからのMNP(携帯電話番号ポータビリティ)での転入にも対応する予定だ。

ハイスペックな「Ascend G6」と格安な「freetel priori」の2機種のSIMロックフリースマホを提供

次に、U-mobileで提供されるSIMロックフリースマートフォンの機種について見ていこう。

これまで、各社のMVNOサービスで格安スマートフォンとして提供される端末は、格安なだけに発売された時期が少し前だったり、スペック的に見劣りする機種が用いられることが多かった。しかし、U-mobileでは、ハイスペックな最新端末「Ascend G6」(ファーウェイ製)を提供する。

U-mobileで提供されるSIMロックフリースマートフォン
「Ascend G6」(ファーウェイ製)

「Ascend G6」は、LTEに対応した4.5インチサイズのAndroidスマートフォン。ファーウェイ・ジャパンが日本市場向けに投入するSIMロックフリースマートフォンの第1弾で、U-NEXTなどが国内販売を取り扱う。800万画素のメインカメラのほか、500万画素という画素数の高いインカメラを搭載しているのが特長だ。

960×540ドットの4.5インチディスプレイ、1.2GHzのクアッドコアCPUを搭載し、OSはAndroid 4.3を採用。通信は下り最大150Mbps、上り最大50Mbps、Bletoothはバージョン4.0、NFCにも対応する。寸法・重量は、131.2×65.3×7.85mm・115g。カラーはホワイト、ブラックの2色となる。

また、より安価なSIMロックフリースマートフォンとして、「freetel priori」(プラスワン・マーケティング製)も提供される。

格安なSIMロックフリースマートフォン
「freetel priori」(プラスワン・マーケティング製)

「freetel priori」は、格安SIMロックフリースマートフォン「freetel」シリーズの最新機種のひとつ。480×320ドットの3.5インチディスプレイ、1GHzのCPUを搭載し、OSはAndroid 4.1.2を採用。メインカメラは200万画素、インカメラは30万画素。LTEには非対応だが、3G/GSMに対応し、U-mobileではNTTドコモのFOMA回線を利用することができる。寸法は、116.5×61.5×11.3mm。カラーはブラック、ホワイト、ゴールド、レッドの4色。

ハイスペックな「Ascend G6」、より安価で3.5インチと手頃なサイズの「freetel priori」と、好みに応じて端末を選べるのがU-mobileの特長だ。それでは次に、両端末の料金プランについて見ていこう。

端末代金込みの料金プランは月額2,110円から

端末を購入してU-mobileを利用する場合、先ほどのSIMカードのみの料金に端末の割賦代金が加わる。なお、端末代金は2年間の割賦支払いとなる。

まず、「Ascend G6」の端末代金を含む料金を見てみると、ダブルフィックス、スタンダード各プランの料金に、2年間は端末代金として毎月1,241円が加わる(初回分のみ1,257円)。そのため、ダブルフィックスプランでは、月間の通信量が1GB以下で月額2,901円、1GB超で月額4,201円になる。また、スタンダードプランは、端末代金込みで月額3,221円。2年経過後は端末代金がかからなくなるため、SIMカードのみの料金と同額だ。

「Ascend G6」を購入する場合のU-mobile各プランの月額料金(税抜)

2年間 2年経過後
月間1GB以下 月間1GB超 月間1GB以下 月間1GB超
ダブルフィックス 2,901円 4,201円 1,660円 2,960円
スタンダード 3,221円 1,980円

次に、「freetel priori」は、ダブルフィックス、スタンダード各プランの料金に、2年間は端末代金として毎月450円が加わる。そのため、ダブルフィックスプランでは、月間の通信量が1GB以下で月額2,110円、1GB超で月額3,410円。また、スタンダードプランは、端末代金込みで月額2,430円。2年経過後は端末代金がかからなくなり、SIMカードのみの料金と同額となる。

「freetel priori」を購入する場合のU-mobile各プランの月額料金(税抜)

2年間 2年経過後
月間1GB以下 月間1GB超 月間1GB以下 月間1GB超
ダブルフィックス 2,110円 3,410円 1,660円 2,960円
スタンダード 2,430円 1,980円

これらはデータ通信と音声通話基本料金、さらに端末代金込みの月額料金となっており、キャリアのスマートフォンよりもかなり割安であることがわかる。

月額料金が最安となるのは、「freetel priori」とダブルフィックスプランの組み合わせで、月間の通信量が1GB以下であれば月額2,110円で利用可能。また、ハイスペックな「Ascend G6」であっても、ダブルフィックスプランでは月額2,901円から利用できる。とにかく低料金でスマートフォンを持ちたいなら、ダブルフィックスプランとの組み合わせが最適だ。

また、毎月の通信量が1GB以上になるのであれば、スタンダードプランがお得だ。「freetel priori」であれば月額2,430円、「Ascend G6」は月額3,221円と、いずれもダブルフィックスプランの上限額と比べて割安になっている。高速通信が利用できるのは月間3GBまでとなるが、3GBを超過しても最大128kbpsで通信可能なため、メールやLINE、SNSであれば問題なく利用できるはずだ。データ通信を存分に利用したい人はスタンダードプランを選ぶのがよいだろう。

毎月600ポイントGET! 動画や音楽、電子書籍なども楽しめる

さらに、U-mobileでは動画や音楽、電子書籍などのデジタルコンテンツが楽しめるのも魅力だ。U-mobileに加入したユーザーには、U-NEXT社が運営する映像配信サービス「U-NEXT」で利用できるポイントが毎月600ポイント、プレゼントされる。

同ポイントは、U-NEXTの映画やテレビ作品を購入する際に使用できるほか、スマートフォン向け定額音楽配信サービス「スマホでUSEN」の月額料金(490円)や、電子書籍ストア「BookPlace for U-NEXT」での書籍購入に使うことができる。低料金でお得にスマートフォンを運用しつつ、なおかつエンターテイメントも楽しみたいという欲張りなユーザーにもU-mobileは最適と言える。

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モバイルデータ通信を格安に利用できるMVNOサービスの動きが盛んになっている。今回、ファーウェイ・ジャパンがハイスペックなSIMロックフリースマートフォン、「Ascend G6」を日本市場向けに投入することで、MVNOサービスはさらに注目度を増しそうだ。なかでも、U-NEXTが提供するU-mobileは、音声通話にも対応し、キャリアのスマートフォンとほぼ同等に使うことが可能で、ダブルフィックスプランなどにより低料金から運用できるのが魅力だ。7月中に提供開始予定の同サービスが、格安スマートフォン普及の台風の目になるかもしれない。