MHLコンソーシアムは6月4日、都内で日本初となる報道関係者向けプレゼンテーションに加え、MHL(Mobile High-definition Link)が実現するエコシステム製品のデモンストレーションを行った。

MHL, LLCプレジデントのRob Tobias氏

既にご存知の読者も多いかと思うが、MHLとは、HDや4K UltraHDビデオをモバイルデバイスからご家庭にある大型テレビなどのディスプレイ製品に出力するインタフェース規格。2011年5月にMHL規格に対応した製品が登場して以来、3年弱という短期間で、ワールドワイドで5億台を超える対応製品が市場に投入されている。

MHLコンソーシアムのプレジデント、Rob Tobias氏は、スマートフォンを中心としたデバイスと、4Kテレビや車載カーナビといったMHL対応機器との組み合わせでもたらされるユーザー体験の一例を紹介。「MHLはスマートフォンの使い方を再定義した」とはRob Tobias氏の言葉だが、1本のケーブルで様々なデジタルデバイスをつなぎ、新たな体験や可能性を見せてくれた。

MHLコンソーシアムの概要をまとめたスライド

MHLの強みは、モバイル端末と高精細ディスプレイを高い次元で接続できること。既に対応製品は5億台を超えることからも、その可能性は大きい

MHLコンソーシアムは、昨今さまざまな活用が見られるスマートフォンの使い方を再定義した

例えば、スマートフォンと高精細ディスプレイをMHLケーブルで接続して、PCのように使うことも

据え置き型ゲーム機のように、スマートフォンのゲームを大きなディスプレイに表示して楽しむことも

国内外のスマートフォン/タブレットがMHLに対応しているほか、2013年にはテレビ/モニターにおいてもMHL規格をサポートした製品が多数ラインナップされた

ハイクオリティな映像や音を手軽に楽しめるMHLは、ホームシアター関連分野においても対応製品が増えている

カーナビに代表される車載機器も、MHLによるスマートフォンとの連携が加速している

ソニー、DELL、RokuといったメーカーのMHL対応ストリーミングスティック。テレビに接続するだけで、YouTubeなどのネットコンテンツを気軽に楽しめるとあり、海外では好評を博しているという

また、2013年8月に発表された最新のMHL規格「MHL 3.0」についても、4K解像度(2160p/30fps)やコンテンツの不正コピー防止技術「HDCP 2.2」への対応、モバイル機器へ10Wの電力を供給、データ伝送の高速化、ドルビーTrueHDやDTS-HDといったエンハンスド・オーディオへの対応など、その特徴を述べた。

MHL 3.0の概要をまとめたスライド

4Kに加えHDCP 2.2、エンハンスド・オーディオへの対応や、モバイル機器へ10Wの電力供給、データ伝送の高速化が主なポイントだ

MHL 3.0対応製品の一例

ソニー、DVDO製のMHL3.0対応ケーブルを持つRob Tobias氏

MHL規格の進化

会場では、Androidスマートフォンと4K対応テレビ、カーナビ、ヘッドマウントディスプレイなどをMHLケーブルで接続したデモが行われた。Androidスマートフォンのゲームを大画面テレビに映像出力し、Bluetooth接続されたワイヤレスコントローラーでプレイするというデモでは、スマートフォンゲームが家庭用据え置きゲーム機と遜色ない迫力、レベルで楽しめることを実感。

スマートフォンのXperia Z2から、4K映像を4K対応テレビに出力したデモでは(MHL 3.0対応ケーブル経由)、画質の劣化がなく高精細な映像の美しさを堪能できた。また、スマートフォンを直接操作せずに、テレビのリモコンでスマートフォン内の映像コンテンツを再生したり、早送りしたりできるシームレスな連携には好感が持てた。

JVCケンウッドのカーナビゲーションとAndroidスマートフォンの融合。実際には、スマートフォンに蓄積された動画をカーナビに表示するユースケースが多いのだとか

ソニーのヘッドマウントディスプレイともMHLケーブルで接続。HMDならではの大迫力映像が楽しめる

スマートフォンのゲームを大画面に映し出してプレイすることも。今後「出先ではスマートフォンで、帰宅したら大画面テレビでゲームを楽しむ」というのがひとつのスタイルになるかもしれない

スマートフォンの4K映像を4K対応テレビで映し出すソニーのデモ

会場にはMHLデバイスのテスト機器も展示されていた

気になるMHLの今後についてだが、MHL 3.0以降のロードマップについての言及はなかったものの、近い将来「MHL 4.0」公開のアナウンスがなされるのは間違いなさそうだ。また、対応製品の広がりについてRob Tobias氏は、「飛行機やフィットネス機器との接続という新たなアイデアが実りつつある」と述べるとともに、「MHL規格を採用したメーカーサイドからの新たな用途提案が飛び出してくるのではないかと期待している」とも語ってくれた。