6月5日9時15分頃、日本航空(JAL)で航空機の重量管理システムに障害が発生した。システムは17時頃に復旧したものの影響は終日続く見込みだ。18時現在で羽田や伊丹、福岡などで150便以上が欠航し運航された便にも大幅な遅れなどが生じ、1万人以上に影響が出ている。羽田では予約便の変更をする乗客などで長蛇の列ができ、また、乗客の手荷物検査を一時ストップするなど、同社のスタッフは対応に追われている。
適正な重心位置を定めるシステム
重量管理システムとは、簡単に言えば出発前に航空機の重量から当該便の重心位置を決めるシステム。航空機は機種に応じて適正な重心位置の範囲が決められており、その範囲に重心が収まらないと離陸できない。特に前後のバランスが重要で、乗客、貨物(荷物)、燃料の重量は便によって違うため、1便ごとに重心を決める作業が必要になる。
重心が機体前方に行きすぎると前のめりになり、後ろ過ぎると失速してしまう。紙飛行機を想定すれば分かる簡単な原理だ。また、バランスが悪いと燃料を多く消費し、経済的な損失が出てしまう側面もある。
このシステムが使えなくなるとスタッフが手作業で行うしかなく、通常よりも大幅に時間がかかってしまう。今回はこうした理由から遅延が生じたほか、欠航せざるを得なくなった。
航空業界では珍しいトラブル
重量管理システムの故障は航空業界では珍しいトラブルだが、報道によるとシステムに障害となったデータが含まれており、そのデータを削除したところシステムが復旧したという。
高度にシステム化された現在の航空運航では、こうしたひとつのミスが乗客に多大な迷惑をかけることになる。今回は離陸前の作業における障害だったが、場合によっては運航の安全性も左右しかねない。原因をしっかり究明し明らかにするとともに、しっかりとした運航管理をしてほしい。