5月24日から全国の劇場で上映されている特撮映画『キカイダー REBOOT』の評判が、すこぶるいいという。1972年に放映された特撮TVドラマ『人造人間キカイダー』を現代に甦らせた本作品は、もとの『キカイダー』が持っていたヒーローらしからぬ"繊細さ"や"弱さ"といった特色を大切に守りつつ、ヒーローの外見上のデザインや登場人物の性格設定などを大幅にアレンジ。かつてのキカイダーを好んで観ていた30~40代の大人世代から、キカイダーをまったく観たことのない10代まで、幅広い層から熱い視線を送られている。
そんなキカイダーへの応援に応えるべく、主演のアンドロイド・ジロー=キカイダーを演じた入江甚儀と、KADOKAWAの井上伸一郎エクゼクティブプロデューサー、東映の白倉伸一郎プロデューサー(東映)の3人が新宿バルト9の舞台に立ち、ミニトークショーが催された。6月に入ったばかりにしては珍しい真夏日の夜、劇場につめかけたキカイダーファンの熱気は外の暑さを上回るほどの勢いがあった。
舞台あいさつでは初めて、映画でジローが着ていたものと同じ衣装で現れた入江は、ジローのロボットらしい無表情とは打って変わって、終始にこやかな笑顔をふりまいていた。マイクを渡されると「ジローと、キカイダーのスーツも演じました入江です」と、ジローだけでなく変身後のキカイダーのスーツを自分で着用し、気持ちの入った芝居をこなした入江の自信のほどをうかがわせた。
続く井上プロデューサーは、「スイッチオン!」と言いながらマイクのスイッチをオンし、会場を沸かせる。ファンには説明不要だが、これはジローがキカイダーにチェンジするときの合言葉である。「ここ新宿バルト9は『キカイダー REBOOT』の"聖地"になりつつあります。昨日は全席が満杯状態だったと聞いています」と、連日の好評ぶりに上機嫌だった。白倉プロデューサーもまた「スイッチ・オン」とマイクの電源を入れつつ「入江甚儀の引き立て役を務めさせていただきます」と、ジョークを交えながら主演の入江を持ち上げた。
このようになごやかな雰囲気で始まったトークショーは、まず入江の周辺が『キカイダーREBOOT』公開によって、どう変化したかについての話題から進んでいく。
入江は「実家に親戚の4~5歳くらいの男の子がいるんです。いつもは『ジンギだ~ジンギだ~』としか言われないのに、この間帰ったら『キカイダーだ!』と言われました」と、幼い子供にもキカイダーが浸透していることを説明。そして「その、あまりの変わりように驚きました。今までとぜんぜん違うじゃないか、ジンギはどこへ行ったんだ」と戸惑いつつも、自分が変身ヒーローになったうれしさを噛みしめていた。
井上プロデューサーは本作品を元妻と一緒に観たと語った後、「今日トークショーをやるんだよと言っても、元妻は冷たい感じだったんですけれど、入江甚儀くんも来るんだったら観に行こうかな、なんて言ってるんです(笑)」と、入江の女性人気の高さを改めて実感したようだった。
入江の印象について、白倉プロデューサーは「いやあ、6月4日に入江くんの写真集が出るそうなんですけれど、僕は生まれて初めて男の写真集を"見てみたい"と思いました。ずいぶんな肉体美なんだそうで、キカイダーとどちらの肉体が美しいか、比べてみたいですね」と、発売が間近に迫った入江の写真集をなぜか猛アピール。
普段から身体を鍛えており、肉体には自信があるという入江は「お芝居でアクションをやりたくて、普段からストレッチや筋トレをやっていたんですが、そんなときにキカイダー主演のお話をいただいたので、トレーニングやっていてよかったと思いました」と、アクションヒーロー役の到来を待っていたようだった。井上プロデューサーは、入江のアクションについて「ゴールデンウィーク中に入江くんの出演した舞台を観たんです。歌と踊りとアクションが多かったんですが、ときどき、あっ、あのアクションはジローだって思ったところがありましたよ」と、動きのキレのよさを称えた。これを受けて白倉氏も「手足が長いから、伸ばした時にきれいに見えるんですね」と、入江に賛辞を送る。両プロデューサーからの絶賛に、入江は照れまくりだった。