6月1日から6月30日は「不正改造車排除強化月間」となっています。文字通り、不正に改造されたクルマに対しての取り締まりを強化する月間ですが、自分は関係ないと思っていないでしょうか。実は、知らず知らずの内に、自分のクルマが不正改造車の対象になっていることもあるのです。今回から計3回、不正改造車のことについてお伝えします。

もっとも陥りやすいのは“灯火”関連の不正

日々、便利に活用しているクルマですが、思わぬことから不正改造車になっていることがあります。特に注意したいのはヘッドランプやテールランプといった灯火類。「単に光っていればOK」「好みの色のランプに変更したい」などという認識を持っていると、マイカーが不正改造対象車になっている場合があります。ここでは、灯火類で陥りやすい例を解説します。

「霧の出やすい山道や海岸沿いを走ることが多いので、フォグランプを搭載した」

フォグランプの取り付け位置は、ランプの下線縁が地上から0.25m以上の高さに取り付けなければならず、かつ0.8m以下の高さに収まるようにしなくてならない

フォグランプ自体をクルマに取り付けることは、霧の中で視界を確保するためにとても有用なことです。問題はそのフォグランプの取り付け方。ランプの取り付け位置や個数、ランプの色などによっては不正改造となるのです。

まず取り付け位置ですが、フォグランプの上縁がすれ違い前照灯の照明部上縁を含む水平面以下で、下線縁が地上から0.25m以上の高さに取り付けなければならず、かつ0.8m以下の高さに収まるようにしなくてはならないのです。また、ランプの最外縁は、自動車の最外側から0.4m以内で左右対称に取り付けられていなければなりません(但し、平成17年12月31日以前の製作車は、ランプの中心がすれ違い前照灯の照明部中心を含む水平面以下で、地上から1.2m以下)。

複数のフォグランプやスポットランプを搭載したラリーカーはカッコイイが、日本の公道では不正改造にあたる

また、ランプの個数も3個以上はアウトで、色も白か淡黄色と決められています。まれにルーフに複数のフォグランプやスポットランプを搭載したクルマを見かけることもありますが、それらは不正改造にあたる可能性が高いです。ラリーカーといった競技車、外国の未開の地を走るアドベンチャーカーならいざしらず、日本の公道を走るクルマには、フォグランプの取り付け位置や個数などに制限があります。

「白色のテールランプのクルマをみた。カッコイイので真似をしたいのだけれども……」

尾灯、いわゆるテールランプには、使用できるカラーが決まっています。夜間等通常走行時に点灯する尾灯は赤、ブレーキをかけたときに点灯する制動灯も赤以外には認められていません。自動車の後部に取り付けるランプの中で白色が認められているのは、バック時に点灯する後退灯およびナンバープレートを照らす番号灯のみ。逆に後退灯や番号灯を赤や橙色にすることはできません。

左が正しい尾灯類。右は白色にした不正改造にあたる例

「車幅灯を青や緑といったクールな色にしてもOK?」

ごくまれに車幅灯に色がついているクルマを見かけるが、これらはNG

車幅灯についても利用できるカラーは白色に決められています(但し、方向指示器等と構造上一体式のものは橙色でもよい。また、平成17年12月31日以前の製作車は、淡黄色、橙色でもよい)。青や緑といったランプに変更すると、不正改造ということになります。逆に方向指示器(ウインカー)は橙色であることが絶対条件。ごくまれに点滅せずに常時点灯している方向指示器もありますが、1分間に60~120回点滅しなくてはいけません。前述のテールランプも含め、色を変えることは御法度といえます。

「ヘッドライトが片方切れたので、ショップで交換したところ、左右の色が異なってしまった」

左右で異なる色のヘッドライトを装着すると不正改造となってしまう

これは、とても陥りやすい例。基本的にヘッドライトの左右の色が異なると車検が通らず、不正改造ということになります。ヘッドライトが切れた場合は、お金はかかってしまいますが、2本セットのランプを購入し、2本とも交換してしまうのが無難といえるでしょう。また、55Wを80Wクラスのバルブに交換する例もあるが、消費電力が上がることで発熱が増え、樹脂レンズやハーネスにダメージが生じたり、ヒューズが切れることもあるので要注意。なお、ヘッドライトの色は、走行用およびすれ違い用ともに白色と決められています(但し、平成17年12月31日以前の製作車は、走行用およびすれ違い用ともに、白色の他に淡黄色でもよい)。

いかがでしたでしょうか。灯火類だけをピックアップしても、不正改造にあたる例はこのようにたくさんあります。次回は灯火類以外で陥りやすい不正改造の例を紹介します。