作家・百田尚樹のデビュー作で、累計530万部を突破した小説『永遠の0』が、テレビ東京の開局50周年特別企画のスペシャルドラマとして2015年に3夜にわたって放送され、俳優の向井理が主演を務めることが3日、明らかになった。
本作は、「臆病者」「卑怯者」と周囲から評されながらも、天才的な操縦技術を持った零戦パイロット・宮部久蔵の生涯を描いた物語。V6・岡田准一の主演で昨年12月から公開された映画は、観客動員数700万人、興行収入86億円を突破。邦画実写作品で国内歴代6位にランクインするなど、大ヒットを記録した。来年放送されるドラマでは、映画では登場しなかった人物やエピソードを描いて、原作をより忠実に再現。太平洋戦争の戦史に関しても同局のアーカイブ資料を用いて詳細に描くことで、映画とは違った魅力を引き出していく。
久蔵を演じる向井は、丸刈りにする気合の入れよう。「映像化される前から好きな作品でしたし、感銘を受けていました。このような作品に出演できると聞いて、光栄に思いました」と出演オファーを喜び、役柄を「守るべきものがあり、その為に冷静で慎重だけれども、技術を得る為には努力家であり、冷酷な面もある人。必死に戦い、守る姿は共感します」と分析。同局初のドラマ出演に向け、「実在する人物ではないですが、戦争を経験した人々や残された我々の世代にも恥じないよう頑張りたいです」と意気込んでいる。
原作者の百田尚樹氏は、「映画版は原作者である私自身が大いに満足した出来栄えでしたが、もとが600ページ近い長編だけに、原作の世界観が十全に再現されたものではありませんでした」と明かし、「しかし、今回のテレビ東京の企画は、限りなく原作に近づいたものです」と太鼓判。編成局ドラマ制作部の岡部紳二プロデューサーは「戦後70年、二度とあの戦争を繰り返さないために…。主人公『宮部久蔵』が命を懸けて残したメッセージを、一人でも多くの視聴者の方に伝えたいと思います」とコメントを寄せている。
終戦から60年目の夏、フリージャーナリストの姉・慶子と司法浪人生の弟・健太郎は、祖母が亡くなった後に祖父・賢一郎から"血縁上の祖父"が別にいることを聞かされ、実の祖父・久蔵のことを調査しはじめる。久蔵と共に戦争時代を生きた人々から「海軍一の臆病者」とも言われる久蔵。生還を強く望んだにも関わらず、久蔵は終戦間際になぜ特攻の最期を選んだのか。その最大の謎に迫っていく中で、2人はある真実を知ることになる。