漠然と老後に不安……という人は多いだろう

余裕のある老後の暮らしを求めると、毎月10万円の赤字に……というのは既報の通り。2000万円の預金があったとしても、夫婦2人の老後の生活は平均寿命まで維持することが難しいということで、危機感を持ち始めたものの、現下の低金利ではどのようにして目標額を貯めたらいいのかわからないという人も多いだろう。そこでここでは、「自分で備える老後資金」と題し、ファイナンシャル・プランナーの村松祐子に解説していただく。

「0.02%」という金利

金利が限りなくゼロに近い0.02%の預貯金だけではお金を増やすことは難しいのが現実です。アベノミクスの金融政策では、物価安定として消費者物価の前年比上昇率を将来的に2%とする目標があります。今後モノの値段が上がっていくことも想定して、インフレにも対応し得るお金の預け先を考えておくことも必要でしょう。

お金を貯めるには、「収入を増やす」「節約する」「お金にも働いてもらう」の3つの方法が考えられます。すぐに取り掛かれるのが節約でしょうが、実際に節約はどの程度の効果が見込めるでしょうか。使途不明金をなくすことは有効ですが、必要以上に生活を切り詰めることは、その労力に見合った貯蓄の効果が期待できるどころか、かえってストレスをかかえることになりかねません。むしろ、心豊かに暮らしていくために、お金は使って楽しみたいもの。必要な事柄とそうではないものとを取捨選択し、心地いいお金の使い方を心掛けた方がよい結果が得られるでしょう。

最後に挙げた「お金にも働いてもらう」とは、運用によりお金を増やすということです。預金により積み立てた場合と、運用によるものと比較してみましょう。

仮に1カ月4万円ずつ普通預金にそのまま積み上げた場合、30年後には、1,440万円になります。一方、同じ金額を1年毎48万円ずつ年3%で運用したとすると、30年後には2,284万円になります(48万円×47.575=2,284万円…積立預金複利表により試算 税引前)。商品選びには慎重になる必要がありますが、長い時間を味方につけ、積立てにより運用を続けていくことで、目標額へ早く近づくことができます。