老後のライフスタイルの充実や高齢者の自立について調査・研究・提言する、特定非営利活動法人「老いの工学研究所」はこのほど、高齢者の呼称についての調査結果を発表した。同調査は1月8日~3月7日、20歳~87歳の男女851名(男性424名/女性427名)を対象として、郵送およびインターネットで行ったアンケートをまとめたもの。

20代と30代では、ポジティブに感じられる呼称が大きく異なる

高齢者のポジティブな呼称は「シニア」、ただし世代により差

高齢者の呼び方について「ポジティブだと感じる呼称」を聞いたところ、全世代で「シニア」という呼称を最もポジティブだと感じる割合が多かった。しかし、その割合は年齢とともに減少していき、70歳代で3人に1人が、80歳代では半数以上が、最もポジティブな言葉として「シニア」を選択しなかった。

また、20歳代では「シニア」が37%にとどまるとともに、21%が「じいさん・ばあさん」を最もポジティブだと感じるなど、世代による語感の違いがうかがえる結果となった。

高齢者のネガティブな呼称は「老人」

「じいさん・ばあさん」は年齢が高くなるにつれネガティブなイメージを持つ人が増加

高齢者の呼び方について「ネガティブだと感じる呼称」を聞いたところ、「老人」「年寄り」をネガティブだと感じている人が多かった。

60歳を境に「じいさん・ばあさん」をネガティブだと感じる人が急増

ただし、「老人」「年寄り」という言葉は、年代が上がるにつれてネガティブだと感じなくなる一方で、「じいさん・ばあさん」はネガティブに感じる人が増えており、年齢とともに嫌がられる言葉であることがわかった。

さまざまな商品・サービスで、ポジティブなニュアンスを込めて高齢者を「シニア」と呼称するのが一般的になってきたが、今回の調査からは、高齢者自身が、それにしっくりとはきていないことが判明した。

また、もともと敬意や愛情を含んでいた「老人」「年寄り」「じいさん・ばあさん」といった言葉も、以前とは異なるネガティブなニュアンスを含んで捉えられるようになっており、「高齢者」という単に年齢を基準とした言葉以外には、適切な呼称が見つかっていない状況がうかがえた。