左「飯田橋グラン・ブルーム」、右「パークコート千代田富士見ザ タワー」

飯田橋駅西口地区市街地再開発組合は29日、6月1日に竣工を迎える「飯田橋グラン・ブルーム」と「パークコート千代田富士見ザ タワー」の竣工披露プレス説明会と内覧会を行った(代行: 三井不動産)。オフィス、商業施設、住居からなる同地区の開発で飯田橋駅周辺はどう変わるのか。取材に行ってきた。

3棟からなる再開発

今回の「飯田橋駅西口地区第一種市街地再開発事業」は、オフィス・商業棟、住宅棟、教会棟の3棟にわたって実施されている。「安心・安全」「快適」「地域との共生」「環境負荷低減への配慮」「新たなにぎわいの創出」からなる、"オフィス・住宅・商業・教会一体の街づくり"を目指しているという。

同地区の再開発が検討されたきっかけは、旧東京警察病院の移転決定だ。2010年に飯田橋駅西口地区市街地再開発組合が設立され、2011年にオフィス・商業棟と住宅棟が着工した。今回のレポートでは、オフィス・商業棟、住宅棟、教会棟の順で内部をお伝えする。

オフィス・商業棟

駅前広場(イメージ)

「飯田橋グラン・ブルーム」は、地上30階・地下2階建てのオフィス・商業棟。オフィススペースには柱がなく、約800坪で1フロアになっているのが特徴だ。

広々としたオフィス

商業ゾーンである1階~3階は、「飯田橋サクラテラス」と名付けられる。6月下旬~7月上旬に一部店舗が先行オープンし、10月10日にはグランドオープン。飲食店、物販・サービス店舗などが入ることになっている。外堀の桜並木を見られる専用テラスを設ける店舗もある。木を用いたエスカレーター壁面デザインや、座りやすい椅子の設置によって"にぎわい"や"心地よさ"を引き出しているという。

3階共用部(イメージ)

住宅棟

「パークコート千代田富士見ザ タワー」外観

解放的な中庭を挟んであるのが住居棟、「パークコート千代田富士見ザ タワー」だ。外堀側はシルバーグレー、反対側はシャンパンゴールドの配色をした外観は、隣の「飯田橋グラン・ブルーム」とも合うように配置されている。

1階に入ると、モダンと江戸の雰囲気を共存させたデザインのロビーが広がる。2階と3階には、ライブラリースペース。定期的に雑誌などの入れ替えを行うそうだ。他にも、パーティールームやゲストスイート、スタディールーム、入居者なら誰でも使えるフィットネスルームなどがある。屋上にはスカイテラスがあり、晴れた日は富士山まで見えるという。

スカイテラス

今回の取材では、標準的な部屋の一つを見せてもらえた。あたたかな陽光が差し込む3LDKの部屋で最も目を引いたのは、やはりその眺めだ。周りに大きな建物が少ないため、遠くまで見通すことができる。

教会棟

「富士見町教会」外観

教会棟(「日本基督教団 富士見町教会」)は他の2棟より一足早く、2013年8月に竣工している。ガラスを多用したデザインが特徴で、内装には無垢の木を使うことで落ち着いた雰囲気を醸している。

『花子とアン』(NHK、2014年4月~)で話題の村岡花子氏が、ヘレン・ケラー来日の際に講演で通訳を務めた際に使われた机も残されている。

災害対策

最後に、着工が2011年4月の同開発が注力したという災害対策を紹介しよう。災害対策としては、制震ダンパーを導入しているほか、地下に非常用発電機を設置し、最大72時間の電力供給ができるようにした。防災井戸には飲料水の供給を想定したろ過設備を導入している。非常用マンホールトイレは計5基用意している。

防災井戸

非常用発電機

オフィス・商業棟内には、約1,300平方メートルの帰宅困難者受け入れスペースを用意した。備蓄倉庫も設置し、エレベーター内にも非常時に必要なものを置いている。住居棟にも防災備品を用意した。

エレベーター用の備蓄物

住居棟の防災備品

オフィス、商業スペース、住居により大きく変化する飯田橋駅西口エリア。「グラン・ブルーム」という名称しかり、外堀沿いの桜が満開になる季節のにぎわいが今から楽しみになりそうだ。