説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『Beats買収で「b」ロゴ入りのiPhoneが発売されますか?』という質問に答えます。
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先日来話題となっていたAppleのBeats買収ですが、ついに正式発表されました。Beats MusicとBeats Electronics2社の買収価格は30億ドル(約3,000億円)、役職は明らかにされていないもののジミー・アイオヴィン氏とドクター・ドレーもAppleに加わります。
Beatsは、エミネムや50セントなどの著名アーティストが所属するインタースコープレコードの社長だったジミー・アイオヴィン氏と、ヒップホップの分野で成功を収めたアーティスト/プロデューサーのドクター・ドレーにより2006年に創業されました。ヘッドホンブランド「beats by Dr.dre」は低音重視の音作りと特徴あるデザインで人気を獲得、特に若年層により支持されています。2013年の売上は約13億ドル、株式の時価総額は10億ドル以上といわれています。
Appleが買収に踏み切った理由ですが、ヘッドホンの開発/設計技術を入手するためではなく、Beatsのブランド価値を評価したことが挙げられます。「beats by dr.dre」のヘッドホンは2012年までMonster Cableが一手に製造していましたし、もうひとつの事業の柱である音楽ストリーミングサービス「Beats Music」にしても2014年1月にスタートしたばかりです。BeatsのブランドイメージがApple製品のユーザにも強くアピールするという判断があったことは確かでしょう。
Beatsは、2011年に台湾の携帯電話メーカーであるHTCと事業提携を結びました。HTCはBeatsの株式のうち50.1%を3億ドルで取得、「b」ロゴ付きのスマートフォンが発売されるのでは? などと注目を集めましたが、2012年に提携を解消、Beatsは株式を買い戻しています。提携解消は方向性の相違などとされていますが、その頃からAppleとの交渉が始まった可能性もあります。
買収の狙いですが、ジミー・アイオヴィン氏とドクター・ドレーの所属が現時点では明らかにされていないことに現れているように思えます。単独でも高いブランド価値を有するAppleが「b」ロゴ入りのiPhoneを発売するとは考えにくく、ましてやBeatsのヘッドホン/イヤホンを同梱するだけで終わらせることはないでしょう。AppleとBeatsの共通項は「音楽」ですから、iTunes Storeの新サービスに2名が関与する、そこで「b」の価値が生かされる、といった見立てのほうがよほど現実的です。
折しも、6月2日から新製品・新サービスの発表の場でもある「WWDC」が開幕します。そこで、Appleの真の狙いがわかることになりそうです。