国際労働機関(以下、ILO)はこのほど、2014年版『World of work report(仕事の世界報告書)』を発表した。ILOは同報告書において、質の高い仕事に投資する国は飛躍的な経済成長を達成できるとの見方を初めて示した。

同報告書では、140の途上国・新興経済諸国を分析。その結果、良質の仕事への投資、脆弱な雇用の削減、働く貧困層問題への取り組みが、より高い経済成長につながることがわかった。また、質の高い仕事への投資が所得不平等の縮小と関連する傾向があることも明らかになったという。

例えば、良質の仕事に焦点を当てた結果、セネガルは1991年から2013年の期間に就業者に占める賃金労働者の比率が約14ポイント増加したのに対し、働く貧困層は34ポイント減少。一方、生産性は年平均0.5%増加した。

ペルーは、同期間に賃金労働者比率は推定15ポイント増、働く貧困層は23ポイント減、生産性は年平均1.8%増となった。ベトナムは、同期間に賃金労働者比率は22ポイント増、働く貧困層は3分の1に減少し、生産性は急上昇した。

同報告書は、2000年代初めから良質の仕事に重点的に投資した国々は、2007年以降、他の途上国・新興経済諸国より毎年1ポイント近く高い経済成長を示したとし、これは2008年に起きたリーマン・ショック危機の影響を緩和する助けになったと分析している。