消費者庁はこのほど、消費者宅を訪れて、無理やり貴金属などを買い取る「押し買い」を行っていたとして、特定商取引法に基づき、訪問購入業者「HE-ART(エア)」(大阪市中央区)に対し、3カ月間、一部業務の停止を命じた。2013年2月に改正特商法が施行されて以降、初の行政処分となる。
同社は、「買取キング」「良品倉庫」「買取バード」との屋号を用いて、消費者宅に電話をかけ、「要らないものを処分しますよ」などと言って、登記簿上の社名や貴金属の買取であることを告げずに消費者宅を訪問。その際、事前に消費者が用意していた物品とは異なる貴金属の買取について唐突に勧誘を始め、「金がほしいんです」と言ってリビングに座り込んだり、消費者が貴金属を見せると「ほかにないですか。もっと出してくださいよ」と言うなど、執拗に貴金属の買取について勧誘を行っていたという。
同庁は、同社が行った行為が、氏名等不明示、不招請勧誘、勧誘を受ける意思の確認義務違反、物品の引渡しの拒絶に関する告知義務違反および迷惑勧誘の違反行為に当たるとし、特定商取引法第58条の13第1項の規定に基づき、2014年5月24日~8月23日までの3カ月間、訪問購入に関する業務の一部(新規勧誘、申込受付および契約締結)を停止するよう命じた。