5月17日よりイベント上映がスタートしたアニメーション作品『機動戦士ガンダムUC episode 7「虹の彼方に」』の初日舞台あいさつが17日、東京・新宿ピカデリーにて行われた。
『機動戦士ガンダム』30周年として始まった『機動戦士ガンダムUC』も足掛け5年。『機動戦士ガンダム』シリーズ35周年を迎えた今年、ついに完結となった。最終回は、全国35の映画館で上映され、土日の興行収入は1億5,718万2,200円、動員数は9万8,208人と記録的な数字を叩き出している。初日舞台あいさつには、主人公バナージ・リンクス役の内山昂輝、ミネバ・ラオ・ザビ役の藤村歩、フル・フロンタル役の池田秀一、リディ・マーセナス役の浪川大輔、古橋一浩監督、ストーリーの福井晴敏氏が登壇した。
まず、福井氏は「小説から入れると8年。当初は、影も形もなかった息子が小学2年生になった。長い年月、一点の妥協もなく作れたのは皆さんの応援のお陰です。感謝の二文字以外はありません」と、計7回にわたって作品を見守ってきたファンに向けてあいさつ。続く古橋監督は「2012年にマヤ歴で世界が終わると思ってましたが、無事に2014年を迎え、最終章が公開することができました」と喜びながらも、「期待をされている方が多く、消化不良を起こした方がいらっしゃるかもしれません。お詫び申し上げます」と、前夜祭やこれまでのあいさつと同様、ネガティブ発言で会場の笑いを誘った。
約5年にわたってバナージを演じてきた内山は、「始まった頃は19歳でしたが、23歳になりましたが、劇中では一カ月しか経っていないので、そのギャップをうめるためがんばりました」と、時の流れを噛みしめるように語る。藤村は、ラストの台詞について「宇宙憲章を読み上げるシーンでは、ト書きに"瞳がうるうる"と書かれていましたが、その理由がわかりませんでした。収録当日になってバナージのことを思い、涙まじりになっていることがわかりました」と振り返ったほか、「ネオ・ジオングと2機のユニコーンガンダムが戦うシーンは、人間同士っぽい戦いで見応えがありました」と、最終決戦に魅了されたことを明かした。
そして、"シャアの再来"と呼ばれるフル・フロンタルを演じた池田は「やっと終わりました。昔、『ファーストガンダム』と呼ばれる作品があり、劇場版のあいさつを新宿で行いました。あれから三十有余年、また、ここであいさつをさせていただいて感無量です」と感極まり、目頭に涙を浮かべながらあいさつ。当時に立ち返るように語る池田に、会場からは大きな拍手が沸き起こっていた。続く浪川は「この後にあいさつするんですか!」と取り乱しながらも空気を和ませると「全国のマリーダ大好きの皆さま、すいませんでした。わずか一カ月の間にこんなにも表情が変わるキャラで、演じがいがありました。参加できて良かったです」と、リディというキャラクターへの思いを話していた。
あいさつに続き、福井氏が冒頭に流れた『宇宙世紀ダイジェスト episode EX「百年の孤独」』を解説。「皆さん、25分のはずなのに、2時間観たような気分になりませんでしたか? 『機動戦士ガンダム』35年分の歴史が詰まっているからです。自分も作りながらこの頃は高校生だったな、と思い出しながらつくっていました。25分の映像に続いて、本編90分が間髪おかずに流れ、こんな映像体験は、今までにしたことがないのではないでしょうか」と確かな手応えを感じているようだった。
さらに、スペシャルゲストとして『機動戦士ガンダム』でララァ・スンを演じた潘恵子がステージに登場し、登壇者たちに花束が贈呈された。潘は「私も一回目から見ていたので、完結してしまうと次の楽しみがなくなってしまいます。福井さん、またよろしくお願いします」と、次回作を福井氏に切望。花束贈呈の後、古橋監督は「30年で始まり35年で終えられ、お祭りもので終えることができました。5年間お付き合いいただきありがとうございました。メカものは不慣れでしたが、少しはうまくなったと思います。本当にありがとうございました」と改めてファンに感謝を述べた。
最後に福井氏は「1回目の興行は35館がほぼ全てで完売しました。episode1の時の上映館数は10館で、少し空きがあったところから、徐々に広がっていきました。テレビでCM攻勢をかけたりしたということもなく、純粋に作品を愛してくださっている皆さんのお陰です。自分の映画の興行に携わるようになって十数年になりますが、こんな経験は初めてです。ここ10年のエンターテイメントでは、奇跡のようなことだと思っています。今回のことを糧に、今後のことも考えていきます」と、さらなる躍進を胸に誓い、初日舞台あいさつを締めくくった。
また、7月5日には神奈川県・パシフィコ横浜にて、シリーズの音楽を担当した澤野弘之によるオーケストラコンサートの開催、さらにシャアの人生を池田が朗読する「ガンダムライブエンタテインメント 赤の肖像 ~シャア、そしてフロンタルへ~」に続く、「白の肖像」の年内開催も発表されている。
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