ここ最近、話題となっているのが、キャリアのスマートフォンよりも、かなりの低料金で運用できる"格安スマホ"だ。これらの格安スマホでは、"格安SIM"と呼ばれるモバイルデータ通信サービスを利用しており、それにより安価な月額料金を実現している。

格安スマホとして販売されている商品は、スマートフォン端末と格安SIMサービスのセット販売がほとんどであり、決められた格安SIMサービスしか選べない。しかし、格安SIMサービスには様々な種類があるため、自分の使い方に合わせて格安SIMサービスや端末を選ぶのが、最もお得で賢いやり方。そこで本稿では、格安SIMサービスの基本や見分け方を解説するとともに、スマートフォン端末の選び方についても紹介していきたい。

「U-mobile*d」を例に格安SIMカードの基本を学ぶ

各社の格安SIMサービスの違いとは?

まずは、格安SIMサービスの基本をおさらいしておこう。格安SIMサービスは、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる事業者が提供するモバイルデータ通信サービス。NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといったキャリアの回線を借り、低料金でサービスを提供しているのが特長だ。低料金で利用できるのには理由があり、パケット通信の通信量を制限したり、通信速度を抑えるなど、MVNO各社が工夫をこらしている。

そのため、一口に格安SIMサービスと言っても様々な種類があり、サービス内容は各社のプランごとに異なっている。具体的には、LTE/3Gの高速通信を利用できる通信量を"月間○GBまで"や"1日○MBまで"と制限し、その通信量を超えると通信速度が低速になるサービスがあるほか、はじめから通信速度を低速に抑え、"チャージ"することで高速通信を利用できるサービスなどが提供されている。そのほか、"090"などの番号を使った音声通話が利用できたり、SMSが利用できるもの、セキュリティサービスが付属するものなどと多種多様だ。

おすすめは月額1,000円以下の格安SIMサービス

格安SIMサービスは、サービス内容などによって価格帯も様々だが、最もお手頃なのは、月額1,000円以下で使い始められるサービスだろう。中でもおすすめは、U-NEXTが提供する「U-mobile*d」のダブルフィックスプランだ。

U-mobile*dは、NTTドコモのXi(クロッシィ)回線に対応した格安SIMサービス。対象エリア内では受信時最大112.5Mbps(一部地域のみ最大150Mbps)の高速通信を利用可能だ。また、ドコモのFOMA回線にも対応しており、全国の幅広いエリアで通信を利用できる。

同サービスのダブルフィックスプランは、2段階定額制の料金プランで、月間通信量が1GBまでは月額680円(以下、金額は税抜)、1GB超では月額1,980円で利用可能。なお、月間通信量が3GBを超えると、送受信の通信速度が最大128kbpsに制限される。また、初期費用として、登録事務手数料3,000円が必要となる。

U-mobile*dの魅力は、受信時最大112.5Mbpsの高速通信を税抜で月額680円から利用できる点だ。マイナビニュースの別稿では、U-mobile*dと他社の格安SIMサービスの比較を行っているが、月間1GB程度の高速通信を利用できる格安SIMサービスの中でも、U-mobile*dは最安となっている。

月間1GBってどのくらい? 端末はどうすればいい?

先述の通り、U-mobile*dのダブルフィックスプランでは、月間1GBまでの高速通信を月額680円で利用可能だが、はたして月間1GBという通信量で、どのくらいデータ通信を利用できるのかと疑問に思う人も多いかもしれない。U-mobile*dのWebサイトでは、1GBで利用できるデータ通信の具体例を示しているが、「LINE」で30字程度のテキストメッセージを送受信する場合、約200万通のやりとりが可能。また、Webブラウザで「Yahoo!」のトップページにアクセスした場合、1GBで約4,600回の表示できるほか、「Google マップ」は約800回の閲覧が可能だと算出している。

なお、スマートフォンでは、使っていないときでもバックグラウンドで勝手に通信が行われることがあるため、上記の具体例で1GBの高速通信を利用できる回数は、実際には少なくなる可能性がある。しかし、U-mobile*dのダブルフィックスプランでは、月間通信量が1GBを超えても3GBまでは月額1,980円で利用できるほか、3GBを超えても最大128kbpsという低速で通信が可能。LINEのテキストメッセージ送受信などであれば、低速の通信速度でも十分利用できると言える。

また、U-mobile*dなどの格安SIMサービスでは、SIMカードのみが提供され、端末は自身で用意する必要がある。利用できる端末は、"SIMフリー"のスマートフォンやタブレット。U-mobile*dのSIMカードの場合、ドコモのXi回線に対応しているため、ドコモのスマートフォンやタブレットでも利用可能だ。

SIMフリーとは、"SIMロック"がかかっていない状態のことで、一般的に、キャリアが販売しているスマートフォンなどは、"SIMロック"により、そのキャリアのSIMカードしか利用できない。しかし、SIMフリー端末であれば、様々な格安SIMサービスで利用することが可能。そのため、家族が使っていたドコモの中古スマートフォンなどが余っている場合などを除いては、SIMフリー端末を用意するのが格安SIMサービスを活用する際の基本となる。

SIMフリー端末には、どんなものがある?

格安SIMサービスと同様に、国内で購入できるSIMフリー端末のラインナップも増えており、低価格なものから高価格なものまで様々だ。たとえば、Googleが販売する「Nexus 5」は、5インチディスプレイを搭載し、OSには最新のAndroid 4.4(Kit Kat)を採用したスマートフォン。価格は16GBモデルの場合、40,937円(税込)。LTEにも対応したハイスペックなSIMフリー端末となっているが、価格はやや割高に感じられるかもしれない。

格安SIMサービスで利用できるSIMフリー端末は、Googleの「Nexus 5」をはじめとして様々だ

一方、低価格のSIMフリー端末としては、プラスワン・マーケティングが販売する「feetel」が挙げられる。同端末は、3.5インチディスプレイを搭載し、OSにはAndroid 4.1.2(Jelly Bean)を採用したスマートフォン。LTEには非対応だが、3G/GSMの通信方式に対応し、U-mobile*dのSIMカードを装着すれば、FOMAの3G回線で通信が可能だ。公式通販サイトでの販売価格は13,165円(税込)。なお、現在はセール価格の12,000円(税込)で購入することができる。

また、feetelでは6月以降、新ラインナップが加わり、想定価格9,800円(税抜)の「freetel Priori」、5インチディスプレイを搭載した想定価格17,800円(税抜)の「freetel Nico」、LTEに対応した想定価格2万7000円前後の「freetel LTE XM(仮)」などが販売される予定だ。

SIMフリー端末を購入する際は、低価格なものにするか、LTE対応などのハイスペックな端末を選ぶかは好みによっても分かれてくるが、今後ますますSIMフリー端末が増えることで、選択肢も広がっていくだろう。

格安SIMとSIMフリー端末で、あなたもスマホデビュー!?

今まで、"スマートフォンは利用料金が高いから"という理由でスマートフォンを敬遠してきた人も多いかもしれない。しかし、本稿でも紹介してきた通り、U-mobile*dをはじめとする格安SIMサービスを利用すれば、月額1,000円以下という低料金からスマートフォンを運用することが可能だ。SIMフリー端末のラインナップも充実してきており、低価格の端末を購入して、初期費用も抑えて気軽にスマートフォンを始めることができる。

また、キャリアのスマートフォンでは2年契約が基本となっており、途中で解約するには解約手数料が必要となるが、U-mobile*dの場合、契約期間や最低利用期間もないため、安心して使い始めることができるのも特長だ。

なお、U-mobile*dのSIMカードは、データ通信専用となっているため、"090"などの番号を使った音声通話はできない。そのため、同じ電話番号を使い続けたいのであれば、従来型のフィーチャーフォン(ガラケー)を通話専用として低料金で維持しつつ、2台目端末としてU-mobile*dを使ったスマートフォンを持つのが最も手堅い選択肢だと言える。

ちなみに、「SMARTalk」などのIP電話アプリを利用すれば、データ通信専用SIMでも"050"番号を取得して通話ができるほか、もちろん「LINE」などの無料通話アプリを使って通話することが可能。工夫次第では、U-mobile*dとSIMフリー端末の組み合わせに一本化することもできるだろう。

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格安SIMサービスとSIMフリー端末を組み合わせて利用するには、ある程度の知識が必要だ。しかし、キャリアのスマートフォンと比べて、かなりの低料金でスマートフォンの運用が可能になるので、それらの知識を身につけておくことは決して損ではないはずだ。低料金でお得にスマホデビューしたい人は、ぜひ参考にしていただきたい。