消費者庁は21日、「社団法人日本貴金属協会」(東京都・港区)と名乗る実在しない団体が、金の投資を謳って現金をだまし取る事例が相次いでいるとし、消費者安全法に基づいて社名を公表し、注意を呼びかけた。
同庁によると、日本貴金属協会と名乗る団体は、消費者宅に金の投資商品のパンフレットを送った後、直接電話をかけて元本保証型の「ゴールド積立定期預金」という虚偽の投資商品を1口100万円で勧誘。その後、新聞記者などを装って再び電話をかけ、東京五輪招致に関与した信用できる団体と信じ込ませて商品を販売し、契約者に対して、代金を郵便局留の小包や集荷サービスで送るよう指示していた。
しかし、商品購入後は同団体と連絡が取れなくなり、配当金の支払いも元本の返金もないという。同庁の調査によると、同団体の所在地と称する場所には関係のない別の事業者が入居しており、同団体の事業拠点は存在しないことが判明。また、商業法人登記もないことが明らかになった。
同庁は、日本貴金属協会からの勧誘には決して応じないよう注意を促すとともに、類似の勧誘を受けたり、取引に不審な点を感じた場合は、お金を支払う前に消費生活センターや警察に相談するよう呼びかけている。