写真に特化したSNS、Instagram(インスタグラム)のフォロワー数ランキングを見ると、1位の水原希子さん、3位のローラさんに挟まれるように、2位に「marutaro」なるアカウントが存在する(2014年5月現在)。ここで国内外から人気を集めているのが「柴犬まる」。フォロワー数80万人以上、トップモデル並みの人気を誇っているのだ。

インスタグラム・フォロワー数国内2位の「柴犬まる」

柴犬まるは、2007年10月20日生まれ。インスタグラムで写真の公開を始めると、その愛くるしい表情と各地の美しい風景がたちまち人気を集め、海外のフォロワーからも絶賛されている。

そんなまるの写真集『柴犬まる』が、6月13日にKADOKAWAメディアファクトリーから発売されることが決定した。お花見や田園、お祭りなど、日本ならではの風景に溶け込む柴犬まるの、えりすぐりの写真が楽しめるとして発売前から早くも話題沸騰中だ。

今回は『柴犬まる』誕生の経緯など、写真集の著者、まるの飼い主にして旅の友である小野慎二郎さんにインタビューを実施した。

まるとの出会いは「一目ぼれ」!?

――まるちゃんとの出会いについて教えてください。

「近所のショッピングモールにあるペットショップで出会いました。やたらと大きな柴犬がいるなぁと(笑)。妻は早々に気に入って、飼うことを決める前から『まる』と名付けていました。

翌週も、またその翌週も、と通うたびに『まる』は売れ残っていて……。そのうち愛着がわいてきて、その年のクリスマスイブに『まる』を新しい家族として迎え入れることになりました」

――「まる」という名前の由来は?

「パッと頭に浮かんだみたいですよ。見た目というか、まるっとしたイメージが妻は好きみたいです(笑)」

和室が似合いすぎる

寝転がる姿もキュート!

――それまでにワンちゃんを飼った経験はあったのですか?

「『まる』が初めてです。夫婦共働きなので飼うのは大変だと聞いていましたが、いざやってみたら何とかなるもので、夫婦で協力しています。『まる』はほかの柴犬より大きくて目立つ存在。私も小さい頃から体が大きくて、親近感があります」

――まるちゃんはどんな性格ですか?

「おとなしくて、とにかくマイペースです。洋犬にありがちな四六時中飼い主のそばにいたいというタイプではなく、自分が構ってほしい時だけ来て、あとは放っておいてほしいオーラを出しています(笑)」

写真投稿を始めたきっかけとは?

――写真集では日本各地を旅するまるちゃんの写真が満載ですが、お気に入りの場所はありますか?

「赤ちゃんの頃から砂浜が大好きで、体が埋まるくらいずっと掘っていますね。柴犬の本能なのか、起伏のある野山も好みます。その反面、街中を散歩している時は退屈そうにしています」

――そんな自然が大好きなまるちゃんの写真は、美しい自然風景とも調和していますよね。

「楽しそうにしているのが伝わってくるんですよね。散歩は私が引っ張るのではなく、彼を先頭に歩かせます。一週間くらい同じコースを通ったかと思うと、突然違うコースになったりすることも」

美しい日本の景色と調和する柴犬まる

――インスタグラムに写真をアップし始めたきっかけを教えてください。

「元々写真が好きだったこともありますが、きっかけは東日本大震災です。当時、情報収集のために見たSNSには、不安をあおる書き込みや悲しい気持ちになるものがあふれていました。その中で何となく、犬の写真をタイムラインにためしに混ぜたらどんな反応があるかな?と思ったのです。

不謹慎かな、と当初は不安にも思いましたが、『まる』は笑っている表情が多いためか、見知らぬ人たちからお礼を言ってもらえたり、海外からもたくさん反応がありました。それで、『まる』の写真が誰かの役に立つなら、微力ながら僕なりの復興の力添えになればと思って、それ以来ライフワークとして1日3枚写真のアップを続けています」

こいのぼりを見上げて狙っているの!?

『まる』が進む先には必ず笑っている人が

――まるちゃんと一緒に日本各地を旅行するようになったきっかけを教えてください。

「『まる』に日本のいろんな風景を見せたいなと思い、また、海外のフォロワーに日本の魅力を伝えたいと思って、京都や奈良など有名なところに限らず全国を回っています」

――特に印象に残っている土地はどこですか?

「九州一周旅行をしたときですね。2週間かけて車で寝泊まりしたのですが、その道中で初めて『まるちゃんですか?』って声をかけられまして。そのときもインスタグラムにリアルタイムで写真をアップしていたのですが、経路を予想して待っていてくれたのです」

――タレント並みの人気ですね。ほかのワンちゃんと違うまるちゃんの特長とは?

「人間には怒ったときに発するにおい、優しい人のにおいというのがあるようで、『まる』はそれを敏感にかぎわけます。『まる』に笑って近づいてくる人には必ずシッポを振りますし、『まる』の行きたい方に歩いていくと、必ず笑っている人がいるんですよね」

――ハッピーを嗅ぎつけて導いてくれるのですね。まるちゃんと出会って、小野さん自身、変わったことはありますか?

「『まる』のおかげで人生が変わりました。今まではすごく適当に生きていたと思います(笑)。でも、『まる』と暮らすようになって、命について考える機会が増えました。彼らは僕ら人間より寿命が短いから、一瞬一瞬を一生懸命に生きているんですよね。それに刺激されて私も健康志向になりました。単純に、朝の散歩があるから早寝早起きになったというのもありますが(笑)」

見どころは「まる」の笑顔と美しい日本の原風景

――今回の写真集の見どころを教えてください。

「日常の生活の中にいる、自然そのものな『まる』の笑顔に和んでもらえればと思います。柴犬は国の天然記念物に指定されるくらい日本固有の動物で、海外の方にとっては珍しく、私たち日本人にとっては懐かしさや安心感があるものだと思います」

――そうした「懐かしさ」は風景にも表れていますね。

「日本のお祭りなど、日本独自の文化がわかるような写真もあります。日本の文化を伝えることが『まる』の使命。海外の方にわかりやすく伝えられるように心がけていますが、日本人にもこの写真集を通じて、改めて自分たちの文化の良さに気づいてもらえたらなと思います」

柴犬まると一緒に美しい日本を再発見!

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「海外に比べてペットショップが普及している日本では、簡単に買える反面、ちょっとしたことでペットを手放したり、簡単に捨ててしまったりする人がいます。例えば『実際に飼ってみたらほえてうるさいので捨てる』とか……」

――ぬいぐるみではなく、命を飼うということをしっかりと理解しなければいけませんね。

「犬がほえるのは赤ちゃんが泣くのと同じですよね。最近は減ってきたとはいえ、今でも国内で年間20万頭ものペット殺処分されている現状があります。犬との生活がこんなにも人の生活を豊かにするんだということを知ってほしい。そして、犬に対する理解も深めてほしい。それも『まる』の写真をあげ続ける原動力になっています」

――ありがとうございました。

『柴犬まる』(1,000円・税別)

■小野慎二郎
まるの旅の友。3.11後、かわいい犬写真でみんなを元気付けたい……という思いからインスタグラムで愛犬「まる」(6歳の柴犬)の画像をアップするように。現在、約80万人のフォロワーがいる人気コンテンツに成長。6月13日にKADOKAWAメディアファクトリーから、写真集『柴犬まる』(1,000円・税別)が発売される。
柴犬まる」の公式サイトはこちらから。