小学館の国語辞典「大辞泉」編集部は、4月8日~5月16日にかけて、日本国内の企業約2,000社の社長を対象に「日本の社長が考える『社長』の語釈」について調査を実施した(調査実施:日経リサーチ)。

「大辞泉」の特設サイトでは社長の回答を公開している

社長とは「リーダー的存在」「愛情あふれる存在」

調査の対象となったのは、東証1部上場および同等クラスの有力未上場企業約1,000社と、東証2部以下および地方・新興市場上場企業、同等クラスの未上場企業約1,000社の社長合計2,000名。

一般に社長の語釈は「会社の業務執行の最高責任者。会社代表の権限をもつ」となっている(同社の国語辞典「大辞泉」より)が、実際に経営のトップは「社長」をどのようにとらえているのか調査した。

さまざまな回答が寄せられたが、代表的なものとして挙げられたのは「孤独なリーダー的存在」「全責任を負うべき存在」「愛情あふれる存在」「会社のキャプテン的存在」。

「孤独なリーダー的存在」を挙げたのは、太洋工業の細江美則社長。社長を「時に最も尊敬され、時に最も軽蔑され、時に最も好かれ、時に最も嫌われる、タクトは持っていないコンダクター」と表現している。ピーアンドピー・キャリアの木徳貴志社長も「上司の悪口を言ってストレス解消できない孤独な職位」と回答した。

「全責任を負うべき存在」と回答したのは、三協精器工業の赤松賢介社長。「父であり兄であり、全責任を担う覚悟のある者。加えて、母役となる者を用意できる者」とコメントしている。東洋ゴム工業の信木明社長も「会社の持続的成長と事業活動の継続に責任を負う人」と"責任"を強調した。

社長は「愛情あふれる存在」としたのは、はるやま商事の治山正史社長。「社長は会社の中で一番会社を愛し、スタッフを愛している人」であるとしている。サンヨーハウジング名古屋 宮崎宗市社長(※)は「外に対してはその企業の顔でありシンボルであり、内に向いてはどんな苦難の時にも夢と希望を与える事ができる人」と回答した。

スマートソーシャルの酒井禎雄CEOは、社長は「会社のキャプテン的存在」と回答している。「夢を持ち、その夢に共感し一緒に航海してくれる自分より優れている仲間を探す仕事。彼らの能力に、素直に共感できる感性が必要」とコメントした。ワンワールドの大場喜満社長は、社長を"神輿(みこし)"に例え「誰でもなれるが担ぎ手(フォロワー)がいないと、ただの人」と表現した。

そのほか、同調査に回答した社長の語釈は、「社長が考える『社長』の語釈」特設ページ」でも公開している。

※宮崎宗市社長の「崎」は、正しくは右の「大」が「立」