米Googleがライブストリーミングサービス「Twitch」の買収交渉を進めていると話題になっている。Wall Street Journalが関係者の話として報じたもので、まだ交渉の初期段階ながら、過去数年で急速にムーブメントとなりつつある「ゲーム実況中継」の仕組みをYouTubeへと取り込むことで、同業他社に後塵を拝しているライブ中継システムでの存在感を高める狙いがある。
買収金額等の話題も出ておらず、交渉はまだ本当に初期の段階にあると考えられる。一方でTwitch側もGoogle等への売却以外に、さらなる増資を検討しているという話もあり、急速に盛り上がりつつあるライブ中継サービス分野での競合間でのつばぜり合いが続いている状態だ。
Twitchは2011年6月にスタートしたばかりのサービスだが、もともとはJustin.tvというサービスの人気コーナーが独立して誕生したという経緯がある。Justin.tvは創業者でもあるJustin Kan氏が自身の生活を24時間毎日ライブカムで中継し、そこでのハプニングやイベントを視聴者参加型で楽しむことで人気を博したサービスだ。
Justin.tvは「チャンネル」と呼ばれる複数のカテゴリやテーマに沿ったコーナーが設けられ、そこでテーマに沿った内容のライブ中継をユーザー自身が行い、そして見て楽しむ仲介型サービスとなっている。このカテゴリの中でも特に人気だったのが「ゲーム中継」で、これをサイトとして独立させたのが「Twitch」だ。Twitchとは「ビクっと反応する」という意味を含んでおり、アクションゲーム等で素早いレスポンスやリアクションを要求されるシチュエーションにおいて、その反応を(見て)楽しむことを「Twitch gameplay」などと呼んでおり、それがそのままサービス名となったと考えられる。
前述のように動画配信サービスのYouTubeを抱えるGoogleだが、放送局型のライブストリーミング関連ではライバルらの後塵を拝している印象が強い。実際にオンラインビデオ技術会社のQwiltによれば4月上旬の1週間のトラフィックを見ただけでも、Twitchは米国全体のライブストリーミング関連トラフィックにおける44%のシェアを握っているという。
もちろん、ビデオ配信全体でいえばNetflixやYouTubeのシェアのほうが高いわけだが、インターネットカルチャーとしての成長度が高く、さらにゲームプレイを見続けるため「滞留時間の長い」プレミアムユーザーに向けて高い広告効果が期待できるという意味で、次なるビジネスチャンスに注目が集まっている。ゲーム中継は著作権問題や、いわゆる「ネタバレ」的な問題も含んでいる反面、興味深いプレイは新規ユーザー獲得のための撒き餌ともなるため、宣伝媒体として活用が可能だと考えられるからだ。