貯金をしていなくても結婚はできる!?

GWは帰省をして、両親とゆっくり話をする機会があった人も多いのではないでしょうか? 中には、恋人の家族へあいさつに、という人もいたのでは? 具体的に見えてきた"結婚"に対してどう用意をしていいのか、マネーの点からもっと気軽に結婚するための方法を、ファイナンシャルプランナーの鉢須祐子さんにうかがってみました。

地域で異なる結婚費用

「生命保険文化センターのデータによれば、結婚(婚約~新婚旅行まで)にかかった費用の総額は443.8万円(全国平均)です」と、鉢須さん。この金額の高さに、最初から気持ちがなえてしまう人もいることでしょう。

結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用の総額(2013年調査、各項目の金額は費用が発生した人の平均額)

秘訣その1)結婚費用はご祝儀もアテにする
「でも、これはあくまで全国平均。例えば北海道の平均は約286万円ですし、首都圏では459万円と地域によって大きく差が出ます。また、実際は御祝儀等もいただけますから、この金額全部を自分たちで貯めなければ結婚できないという訳ではありません」。

ちなみに、「親などからの結婚費用の援助額の平均(出典:生命保険文化センター)」は約183万円。結婚披露宴に80人を招待したとして、ご祝儀が240万円(3万円×80人)、それに「親からの援助の平均」を足してみると423万円と、結婚費用の全国平均の444万円とトントンです。あくまで「データから読み取ると」という前提は必要ですが、結婚費用として、「親や周囲から集まるお金」というのもアテにしてみてもいいのかもしれません。

秘訣その2)式場のコストを下げる
オトクな結婚式場を探すというのもひとつの方法です。例えば、2013年9月から目黒区総合庁舎が式場としての貸し出しを始めていますが、その利用料は4時間で7万円と、ホテルなどで会場を押さえるよりもずっと割安です。目黒区総合庁舎は、日本を代表する建築家村野藤吾氏が設計した特徴的な空間で撮影スポットもたくさんあり、式の運営は区が選定した事業者が行います。

ゆるやかな曲線のらせん階段や屋上庭園なども備えた目黒区総合庁舎

鉢須さんも、「会社の福利厚生やクレジットカードの特典で安く使える式場を探す、仏滅や平日といった日柄を選ぶ、夏場の時期の結婚式にする(サマーウェディング)などといった工夫で、結婚式のコストはかなり抑えられますよ」と言います。

例えば、アメリカン・エキスプレスの会員には披露宴出席人数に関わらず、引出物(1,080円分)を人数分サービスするなど、全国の13ホテルで特典を設けています。また、結婚式場情報サイトを見てみると、7,8月のサマーウェディングだと40%オフになるプランがあったり、仏滅だと挙式料無料は無料というプランもあったりします。

「結婚式=お金がかかる」と頭で考えて諦めてしまうのではなく、オトクな情報を集めるなど実際に"動く"ことで、結婚が身近になってくるのではないのでしょうか?

秘訣その3)新婚旅行は旅行積立を利用する
新婚旅行に向けて、あらかじめ旅行積み立てをしておくのもおすすめです。というのも、旅行積み立ての利率は普通の定期預金よりずっと良いからです。行きたい場所や希望のツアーに焦点を定めて、そこに強い旅行会社での積み立てを検討してみるのも良いでしょう。

一例として、H.I.S.の「貯めチャオ」やJTBの「たびたびバンク」、ANA の「旅行積立プラン」などがあります。

新生活準備費は平均97万円

結婚費用の高額さに比べ、意外とリーズナブルな印象を受けたのが新生活準備にかかった費用です。結婚費用の平均444万円の1/4の約97万円(出典:生命保険文化センター)にとどまっています。

「どちらかが一人暮らしをしていたりすると、それを引き継いで新居で使ったりするなど無駄を省く傾向があるのではないでしょうか?」と鉢須さん。「もっとも"私たちは住空間を大切にしたいから結婚式の費用は抑えて、新居のインテリアにお金をかける"というカップルもいます。本当に人それぞれで、一概には言えないのが現代の結婚事情の特徴かもしれません」。

新生活準備のためにかかった費用の総額(2013年調査、注1: 各項目の金額は費用が発生した人の平均額、注2: 「敷金・礼金」は社宅を除く賃貸住宅居住者ベース、注3: 引越し費用は引越し業者を利用した人ベース)

秘訣その4)周囲の思惑にとらわれすぎない
ちなみに「親などからの結婚費用の援助」の金額は年々減ってきているそうです。鉢須さんは、「親側にも"本当はホテルや立派な式場でやってほしいけれど、援助ができないから自分たちの好きなようにやってもいいよ"という諦めがあるのかもしれません」という。

実際、フォトウェディングのみや神社・仏閣で挙式のみというプランもあります。また、友人や知人を招待する披露宴も、専門の式場ではなくレストランを会場に選べば、費用を抑えることも可能です。

一昔前であれば、恋愛はともかく結婚となれば、"家"や"親"の意向を全く聞かないという訳にはいきませんでした。今はそういった縛りも減ってきて、結婚の形が本当に多様化してきています。それだけに、あまり周囲の思惑にとらわれず、もっと気軽に"自分たちらしい結婚"を考えてみるといいかもしれません。

プロフィール: 鉢須 祐子(はちす ゆうこ)

アラサーのフリーランス。「自分らしい働き方がしたい」と思い、2級FP技能士の資格を取得し、FPとライターのパラレルキャリアを実践中。国内大手証券会社・銀行の営業職を経験後、2009年に独立。日本では数少ない独立系の若手女性FPとして、執筆活動や講演会を通じてマネー情報を発信中。セミナーDVD「お金を貯めるライフプラン」「ゼロから学べる借入トラブル」(ファイナンシャルアカデミー)ほか、雑誌やWebメディアなどの掲載・出演実績多数。「オフィシャルサイト」にて日々、情報を発信している。

筆者プロフィール: 楢戸 ひかる(ならと ひかる)

1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。生活に役立つ情報を「主婦er」にて更新中。