5月24日に公開される特撮映画『キカイダー REBOOT』の完成披露試写会が15日、東京・新宿のバルト9で行われ、主演の入江甚儀、ヒロインの佐津川愛美、共演の高橋メアリージュン、伴大介、そして下山天監督が舞台あいさつに登壇した。
『仮面ライダー』に代表される「特撮変身ヒーロー」番組がテレビ界を席巻していた1972年、『ライダー』と同じく石ノ森章太郎原作、東映制作の連続テレビ映画『人造人間キカイダー』が放映され、当時の子供たちを夢中にさせた。あれから42年もの歳月を経た2014年、『人造人間キカイダー』の"魂"を受け継ぎ、現代的な映像表現を駆使して映画『キカイダー REBOOT』が、ついに完成の日を迎えた。
自分の意思で考え、善悪を判断することのできる"良心回路"を備えたアンドロイド=キカイダーことジローを演じた入江は、まず「この作品は、本当にいろんな人の魂が込められた作品になっています」とあいさつ。そして「『キカイダー』を観ていた世代ではないですが、以前からその存在は知っていました。半分赤、半分青のビジュアルはそれだけインパクトがありました」と話しながら、「雑貨屋さんで100種類くらいあるシールの中からたまたま選んだ一枚が、キカイダーでした」と、キカイダーとの"縁"を語った。
最初は初主演、初のヒーロー作品ということでプレッシャーを感じていたという入江だが、かつてのジロー役・伴大介と初対面したとき「背中をポンとたたいていただき『大丈夫だよ』と言ってもらったんです。それ以来、いままでの緊張が抜けてリラックスして撮影に取り組めました」と、伴の存在が精神的な支えになっていた模様。心を持ったアンドロイドという難しい役どころだったが「どういったさじ加減で芝居をしていいのか、悩みましたね。毎日撮影しては、今のシーンでどれくらい感情を出したっけ……と振り返って、次のシーンにつながるか考えたりして。台本を何度も読み返しながら計算して役を作っていきました。悩んだときは下山監督とセッションして、ここはもうちょっと感情を出しましょうと話しあい、ジローを作り上げていきました」と、試行錯誤しながらキカイダー/ジローを演じていったという。
また、アクションについては「最初は大変だなあと思っていましたが、やはり男の子なんですね。どんどん楽しくなってきて、よりカッコよくアクションを見せたいと思うようになりました。また機会があれば、どんどん激しいアクションをやりたいですね。『2』があればいいんですが……」と、早くも続編への抱負をのぞかせた。
ジローを作った光明寺博士の娘で、機械と知りつつジローにほのかな感情を抱くようになっていくミツコを演じた佐津川は、「漫画が好きな女の子なので、役を作るため漫画を読んでみようって。撮影の合間でみなさんが集まっているところでも、ひとり片隅で漫画を読んでいました」と役作りを説明。撮影現場については、「とてもあたたかい現場だったので、撮影が進むにつれてみんなどんどん仲良くなって。そういった部分が後半でジローに心を開いていくミツコの演技にも関係しているように思います」と振り返っていた。
ジローと同じくプロトタイプだが"良心回路"を持たないクールな美女アンドロイド・マリを演じた高橋メアリージュンは、本作で初の本格的なアクションに挑戦。出演決定時には、『キカイダー』世代の父親が誰よりも喜んでいたという。今回はキャラクターの演技もさることながら、アクションに力を入れており「入江さんと一緒に、2週間ほど練習したのがとても楽しかった。練習のおかげでとってもカッコいいアクションシーンができたと思います」と充実の表情を見せる。そして「マリは良心回路がないので、相手に容赦なく攻撃ができる戦闘ロボット。撮影もアクションから始め、身体でマリという存在を身に着けたという感じです」と役作りを解説。本作の見どころについては「ジローやミツコの心の葛藤から生まれるラブストーリーも魅力ですので、そちらも楽しんでいただけたら」と伝えていた。
傷ついたジローを助け、彼に"良心回路"とは何かを説く心理学者・前野究治郎を演じた伴大介は「40数年前に私が出演した『キカイダー』は、ヒーロー作品の中でも名作だと思っています。それが新たに劇場映画として生まれ変わるとは、夢のような気持ちでいます。すごい作品になっていますので、みなさんぜひ堪能してください」と、当時に立ち返る表情を見せながらあいさつ。新・旧ふたりのジローが並ぶ共演シーンについては「齢をとっている人物だけれど、昔のジローのイメージを多少残したほうがいいかと思って演じました」と演技表現の工夫を語りながら、「とても大切な『キカイダー』をREBOOT(再起動)させてくれたプロデューサーをはじめ、スタッフのみなさんに"ありがとう"と感謝したい気持ちです」と製作陣への感謝を述べていた。
そして、下山監督は「アメリカでは『アベンジャーズ』や『スパイダーマン』など、昔のヒーローがリメイクされているのを見ながら、いつか『キカイダー』を日本オリジナルのヒーローとして作り直してみたいと思っていました」と強い思い入れを告白。「責任感からくる重圧はすごいものでした」と相当なプレッシャーがありながらも「脚本完成までに2年かかり、それ以前に企画から5年も経っている。作り手が妥協しないまま今日まで至っています。撮影、編集、そして音楽、スタッフみんなが妥協せず今日まで来ました。この作品が日本ヒーローの新しい日本ヒーローの新しい流れになり、世界に向けて発信できることを願っています」と感慨深く語っていた。
また、『キカイダー』を6歳のころに観ており『仮面ライダー』よりも愛着があると話す下山監督は、当時『キカイダー』の裏番組であり、高視聴率を誇っていた『8時だヨ!全員集合』に触れ、「家にはテレビが2台あったので、家族が『全員集合』を観ているときでも、僕だけもう1台のテレビで『キカイダー』を観ていた」と、筋金入りの『キカイダー』ファンであることを強調。そうして完成した本作については、「自信をもって全国の劇場に送り出せる作品になったと自負しています。今日はみなさん思い切り楽しんで、新しいキカイダー、新しいヒーロー映画のスタートを見守って、送り出してください」と、確かな手応えを感じているようだった。
最後のあいさつとして入江は「本当に、『キカイダーREBOOT』が初主演作でうれしく思います。現場はすごく楽しかったですし、しかもみなさん一切手を抜いていません。僕は映画を観終わった瞬間、この作品はもっともっと羽ばたいていくのではないかと思いました」と締めくくった。
映画『キカイダー REBOOT』は、5月24日より全国公開される。