ソニーは5月14日、2013年度(2013年4月1日~2014年3月31日)の連結業績を発表した。営業利益は264億円、最終損益(「当社株主に帰属する当期純利益」という)は△1,283億円(損失)だった。
売上高及び営業収入は2012年度(2012年4月1日~2013年3月31日)の67,955億円から14.3%増の77,673億円となったものの、営業損益は前年度比88.3%減となった。なお、いずれの数値も5月1日に修正発表された見通しとほぼ同じ数値となっている。
連結業績(米国基準に基づく。△は損失) | |||
2013年度 | 2012年度 | 前年度比 | |
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売上高及び営業収入 | 77,673億円 | 67,955億円 | +14.3% |
営業利益 | 265億円 | 2,265億円 | △88.3% |
税引前当期純利益 | 257億円 | 2,421億円 | ― |
当社株主に帰属する当期純利益(損失) | △1,284億円 | 415億円 | ― |
売上高及び営業収入の増加は、為替の影響やプレイステーション 4の発売、スマートフォンの大幅な増収によるもの。一方、事業資産の売却益や再評価益が前年度に比べて減少したことや、PC事業売却に伴う損失が386億円から917億円に拡大したことが大きな要因となって、営業利益は大幅に減少した。
2007年をピークにエレキ事業の売上規模は半分まで縮小
同日行われた報道関係者向けの説明会には、代表執行役EVP CFOの吉田憲一郎氏が出席。平井一夫社長がエレクトロニクス事業の黒字化を必達目標に掲げる一方、デジタルカメラなどを取り扱うイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)以外、エレクトロニクス事業のセグメントで黒字が出ていないことを吉田氏は指摘。2013年度までの10年(2004年度~2013年度)にわたるエレクトロニクス事業の売上高および営業利益の推移をグラフで示した(下の写真参照)。
吉田氏は「これにソニーの課題が集約されている」としたうえで、「別の会社として運営を行っているゲーム事業(ソニー・コンピュータエンタテインメント)、モバイル事業(ソニーモバイルコミュニケーションズ)を除けば、2007年の5.9兆円をピークに半分近い水準までエレクトロニクス事業の売上高は縮小している」とコメント。
この点に関して吉田氏は、売上規模の縮小に対応したコスト構造の転換がまだ十分に図られていないと指摘。2014年度も1,350億円の事業構造改革費用を計上することで、黒字の出る体質への転換を図る。なお、この事業構造改革費用には、すでに日本産業パートナーズへの事業譲渡契約が締結されたPC事業に関するもの360億円も含まれている。事業構造改革費用については、2013年度に1,774億円を計上したのに続き2年連続での巨額計上となるが、吉田氏は「今年、やりきるという思いで1,350億円を計上した」という。
テレビは分社化で黒字化するか?
懸案となっているテレビ事業の黒字化に関して、吉田氏は「事業固定費の圧縮は進んだが、販売側の固定費削減までは十分ではない」と説明した上で、「事業固定費の圧縮はある程度、やりきった」と強調。これにより、コスト構造の改善はある程度行われているほか、2014年度は高付加価値モデルへシフトしたプロダクトミックスをより進めることで、売上増を見込む。
これに加えて、2014年7月に予定されている分社化により、いっそうの独立採算を意識した経営がテレビ事業でも求められる。これによりコスト構造がより最適化されると期待されるが、「販売側の固定費削減により、今期(2014年度)の黒字化は可能」と吉田氏はコメントした。なお、ホームエンタテインメント&サウンドのセグメントでは、営業損益を大きく押し下げていたテレビ事業が黒字転換することで、2014年度は売上高12,600億円に対して100億円の営業利益計上を見込んでいる。
なお、ソニーグループ全体の2014年度業績としては、78,000億円の売上高及び営業収入、1,400億円の営業利益、1,300億円の税引前利益の計上を見込んでいるが、前述の事業構造改革費用が1,350億円計上される影響などもあり、最終損益は500億円の損失を見込んでいる。