女同士の壮絶な闘いが繰り広げられることで話題の、沢尻エリカ主演ドラマ「ファースト・クラス」(フジテレビ/毎週土曜日23時10分~23時55分)。実際のファッション誌の女性編集者はどうなのだろうか。
「人間関係はそんなにドロドロしていない」「誰かをイジメる余力もない」といった話が聞けた前回に引き続き、現役女性編集者のマリさん(仮名)に話を聞いた。
「いいよね、独身は」 - 女性誌編集者の恋と仕事のリアル
――ドラマでは主人公の企画が盗まれる場面がありました。立場の低かった人がいい企画を立てて成果を出したりすると、嫉妬されたりはしないんですか?
えーっと……。
私、最初の職場で、1個上の先輩より先にムックの編集を任されたことがあったんですよ。その先輩が妊娠したっていう事情もあったんですけど。そうしたら、その先輩に「いいよね、独身は」なんて嫌みを言われたことはありましたね。
――それは強烈ですね。
女性誌の編集者って、ドラマの通り女性が多いんです。みんな彼氏がいたり、夫がいたりする。「いつまでに子供を産みたい」とか「結婚はいつまでにしよう」とか、そういう葛藤もあるんですよ。忙しくておちおちデートもしていられないですから(笑)
でも、私を含めてみんな元気ですね(笑)。どんなに忙しくてもみんな時間を見つけてコンパに繰り出すし、デートもするし。強いですよね。
――恋愛のために仕事を切り上げたりすることもあるんですか?
全然ありますよ! 今となっては笑い話なんですけど、私、そのとき付き合ってた人と会いたいがために、入稿間際だったけどパソコンを抱えて会いに行ったりしてました(笑)
――それはすごい(笑)。会いにいくまでの道でお仕事されてたんですね。
会ってからもしてましたよ(笑)。
パソコンを持っていって、彼の隣で原稿を書くんです。一緒にいられればいいかなって(笑)
もちろん今はそんなことしないですよ! あのときはバカな女だったので……。アシスタント時代は自分の時間がほとんどとれないので、ちょっとでも時間があればそういう風にして会ってましたね。プライベートを充実させるのに必死で(笑)。
――パソコンを持って職場を抜け出して、先輩や上司からの反応はどうだったんですか?
なんかもう、みんな笑ってましたね(笑)
3年耐え抜けば"ファミリー"に
みんなほとんど1年とか2年で辞めちゃうので。3年耐えて、やっとファミリーになるんですよ。
――ファミリーですか?
はい(笑)。一度ファミリーになっちゃえば、その絆はすごく強いんです。みんな、後輩につらく当たってることは自覚してるんですよ。私自身も前の職場ではそうでしたし。忙しいからしょうがないんですけど(笑)
でもそれだけに、3年も一緒に仕事すればファミリーですね。その人の良い部分も悪い部分も知り尽くしているので。
――そうやって打ち解けるんですね。
はい。ギスギスしてても、3年たてば慣れます。若いうちは虐げられるのが愛情、みたいな(笑)
――陰湿な感じではないんですね。
全然陰湿じゃないですよ。陰口もないです。仕事ができないと、「あーもうほんとに嫌になる! なんでそんなに仕事できないの?」って、とてもストレートに言われます(笑)。「もうやめたほうがいいんじゃない?」とか。
――ドラマは見ていますか?
私はまだ見てないんですけど、第一話が放送されたときは、すごく久しぶりの友達から電話がかかってきました。「あれ見てたらマリ(仮名)を思い出した」って(笑)
友達にはよく愚痴ってましたからね。「ほんとに大変!」って。でもドラマみたいな大変さとはちょっと違いますね。
――なるほど。方向性は違うけど、ドラマの雰囲気も当たらずとも遠からずという感じですかね。
まぁそうですね。あのスピード感と、全員が野心を持ってる感じは本当にリアルですね(笑)
蹴落とすというより、ついて来られない人は置いていかれるって感じです。それだけに生き残った人の絆は強いですよ!
前の職場の仲間たちとも、本当に仲がいいです。この指輪もそのときの仲間とおそろいで。落ち込んだときはいつもこれを見てます(笑)
――ありがとうございました。
目が回るほどに忙しい実際の女性編集者は、仕事も恋も全力投球! いうことがわかった今回のインタビュー。一緒につらさを乗り越えると、"ファミリー"のようになるというのはすがすがしい。ドラマ「ファースト・クラス」でも、ドロドロした女たちの人間関係が今後どうなっていくのか見守りたいところだ。
※写真と本文は関係ありません