我が強い同士だと衝突することも!?

ファッション雑誌編集部を舞台に女同士の闘いが繰り広げられる、沢尻エリカ主演ドラマ「ファースト・クラス」(フジテレビ/毎週土曜日23時10分~23時55分)。ドラマに描かれているような女性同士の壮絶な"マウンティング"=格付けは、現実にもあるのだろうか。現役女性編集者のマリさん(仮名)に聞いてみた。

現場の雰囲気は意外にも"体育会系"

――「ファースト・クラス」は女のドロドロした争いが描かれていますけど、実際の編集部でもあんな感じなんですか?

あそこまで陰湿なことはしません(笑)。ただ、みんな我は強いですね。

――なるほど。我が強い人同士だと、衝突することもありますか?

うーん、衝突というより……。ドラマだと、ちなみちゃん(主人公)が「おはようございます」って言うとみんな「おはようございます」って返してたじゃないですか。うちの編集部だと、あいさつは返さないですね。

――無言ということですか?

無言です(笑)。「おはようございます!」って言っても、「……(会釈)」みたいな。あいさつは返してくれない人が多かったかなー。

――それはつらいですね。仕事の上でトラブルなどはありましたか?

外で撮影するとき、モデルさんに飲み物片手に歩いてもらったりすることがあるんです。私はそのときアシスタントだったんですけど、その企画の担当編集さんに「小道具に使う飲み物を買ってきて」って言われたんですね。で、近くのに某コーヒーチェーンがあったので買ってきたら、「ちょっと、こんなの使えるわけないでしょ! ダッッサい!!」って、すっごい怒られて飲み物はその場で捨てられました(笑)。

ファッション誌の編集者は、「見た目が命」じゃないですけど、ビジュアルの世界ですから、そういう美意識が絡むところではちょっとギスギスしてましたね。

とにかく忙しい……!

――厳しい世界ですね。

なんであれじゃダメなのかはいまだいまだによくわからないんですけど、従わなきゃいけなかったんですよね。

企画の担当者が全てのディレクションを行うプロデューサーなので、その人の言うことは絶対なんです。カメラマンさんもたくさんいるけど、結局は担当編集が使う立場にあるので、写真の撮り方なんかもほとんど言いなりです。

ロケバスで各地を回るときなんか、アシスタントは大忙しです。担当編集から「次のロケ地に五分遅れるって連絡して! あ、おにぎり撮らなきゃいけないから買ってきて! 飲み物も! ちょっと待ってカメラマンさんがレッドブル飲みたいって言ってるからそれも買ってきて! 早く!」って、もうパシリの極みでした(笑)

――アルバイトは使わないんですか?

バイトもいますけど、現場にはこないことが多いですね。新人編集がこき使われて、先輩の見よう見まねで仕事を覚えていく、って感じです。究極の現場主義で、体育会系ですね。

――体育会系なんですね。意外です。

もう全然体育会! 先輩の言うことは絶対ですし。でも、実力の世界なので、年功序列って感じではないですね。やっぱり編集者はいいページを作ってこそですから。

何かあるとすれば仕事上でのぶつかり合いです。人間関係はそんなにドロドロしてないですよ。そんなことしてる暇はないので(笑)。誰かをイジメる余力もないですし。ただ、仕事のストレスでキツく当たられることは多いですね。八つ当たりみたいな(笑)

――なるほど。それで新人は大変なんですね。

そうそう。とにかくやることが多くて、全部が「○時までに」っていう締め切りつきなんですよ。「すぐ除光液買ってきて!」と言われて、急いで買ってきたら先輩のマニキュアがはげただけってこともありました(笑)。

ドラマのキャッチコピーは、"私以外、全員悪女"。ドロドロした女同士の闘いを期待して聞いてみたが、「誰かをイジメる余力もない」という言葉からもわかるように、実際の編集者は忙しすぎてそれどころではないようだ。次回はさらに、女性編集者の気になる恋愛事情と人間関係について聞いた模様をお届けする。

※写真と本文は関係ありません