ソフトバンクの孫正義代表は7日、2014年3月期の決算発表会で「日本の携帯電話の利用料金が高いのではないか」といった一部の見方に反論した。また、米国展開にも強い意欲をみせた。

2014年3月期の決算発表会に登壇した孫正義ソフトバンクグループ代表

質疑応答の場で、ある記者から「ボーダフォン・ジャパンを買収した際、(孫社長は)日本の携帯電話の料金を安くするとおっしゃっていた。実際そこまで下がったのか。現在は、政府関係者から携帯電話の料金を下げるべきとの声が出ている。いま米国では"スプリントが価格革命をもたらす"、という論調になっているが、実現できるのか」といった趣旨の質問があった。これに対し孫社長は「まずは事実を申し上げたいと思います」と話し始めた。

「我々がボーダフォン・ジャパンを買収する前、皆さんは携帯電話の利用料金として1カ月に1万円以上払っていた。ほとんどの日本のユーザーが、1万円や2万円支払っていた。その頃の日本の平均ARPU(1契約者あたりの利用料金)は、世界で最も高かった。我々が参入して、他の2社を大きく下回るプランを提供した。ソフトバンクがプライスリーダーとなり、利用料金を値下げした。それまで基本使用料は4000円だったが、我々は980円で提供した。誰にかけても有料だった音声通話を、ソフトバンク同士なら(時間の指定付きながら)無料にした。我々が必死の思いで競争をしかけて料金革命を起こした。その結果、現在の日本のARPUはアメリカよりも安くなっている」と孫社長。

そして、次のように続けた。「日本はこの6年間でデータ通信量が伸びている。1ユーザーが使用するスマートフォンのデータトラフィックは、いまやアメリカの3倍近い、という調査結果もある。少なくともソフトバンクでは1000倍に増加した。それにも関わらず、利用料金はアメリカよりも安い。これが事実です。総務省のどなたかが日本の携帯電話の利用料金は高いとおっしゃっているのなら、まったくの勘違い。とんでもない事実誤認。即刻、訂正していただきたい。日本は、LTEの通信速度と人口カバー率が世界一というレベルにあるにも関わらず、利用料金はアメリカよりも安いんです」。

孫社長はアメリカにおける事業展開にも意欲をみせた。「アメリカでも、我々(スプリント)が大手2社(AT&T、ベライゾン)の競争相手として充分な存在感を示す規模の企業になれば、アメリカ市場においても"ネットワーク競争"と"価格競争"を提供できる強い自信がある。アメリカのユーザー、アメリカの業界のためにも、是非そのような機会を我々に与えてほしい。それを強く望んでおります」。終始、穏やかながらも熱のこもる口調だった。

(記事提供: AndroWire編集部)