子ども支援専門の国際組織であるセーブ・ザ・チルドレンは、「母親指標~お母さんにやさしい国ランキング~」を含む「母の日レポート」を発表した。

スウェーデンの母子

日本はG7最下位の32位に

同レポートは、母親を通して子どもについて考えるきっかけを作るため、毎年母の日にあわせてセーブ・ザ・チルドレンが発表している。レポートの発表は今年で15回目で、今回は178カ国を対象に母親と子どもの状況を分析すると共に、紛争や自然災害などによる人道危機下で生存が脅かされる母子の保護に関する調査報告を行った。

「母親指標~お母さんにやさしい国ランキング~」は同レポートに含まれているランキングで、「妊産婦死亡の生涯リスク」「5歳児未満児の死亡率」「公教育の在籍年数」「国民1人あたりの所得」「女性議員の割合」の5つの指標を基に、保険・栄養、教育、経済、政治への女性参加を総合的に勘案して算出したもの。

日本は32位となり、先進7カ国(G7)の中で最下位だった。保険・栄養、教育、経済の分野ではランキングトップの国々と同じ水準であるにもかかわらず、女性議員の割合が10.8%と低いことがその原因とみられる。昨年の11.3%よりも数値を落としており、ランキングトップのフィンランド(42.5%)と大きな開きがあるだけでなく、ランキング最下位のソマリア(13.8%)よりも低い数字となっている。

同調査で「最もお母さんにやさしい国」とされたのはフィンランドで、「最もやさしくない国」となったのはソマリアだった。全ての指標において他国より高い水準に達している北欧のほか、欧州各国がランキング上位を占めた。一方で、西・中央アフリカ諸国が下位10カ国中9カ国を占めるなど、明暗を分ける結果となった。

下位国にも死亡数低下などの成果が

同レポートによれば、下位10カ国のうち、6カ国は現在進行形で深刻な人道危機の事態に直面しており、母子の状況は悲惨をきわめている。

その一方で、生活環境の厳しい地域であっても、母親と子どもへの支援が一定の効果をもたらすことも明らかになった。アフガニスタンは、助産師の育成や子どもへのワクチン投与などを行い、また、女子への教育に力を入れることで女性や子どもの健康を向上させ、妊産婦の死亡を2000年の数字から1/3まで減らすことに成功した。3年前には最下位だった母親指標の順位も、146位まで上げている。同様に、エチオピアも妊産婦の死亡数を2000年から1/3にまで減らすなど、アフリカ大陸で最も成果を挙げた。

セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長のジャスミン・ウィットブレッド氏は、「激しい紛争下にある国であっても、正しい戦略と投資があれば、子どもたちの命を救うことができるのです」と語っている。

なお、上位10カ国と下位10カ国のランキングは以下の通り。

【上位10カ国】
1)フィンランド
2)ノルウェー
3)スウェーデン
4)アイスランド
5)オランダ
6)デンマーク
7)スペイン
8)ドイツ
9)オーストラリア
10)ベルギー

【下位10カ国】
1)ソマリア連邦共和国
2)コンゴ民主共和国
3)ニジェール共和国(同率)
3)マリ共和国(同率)
5)ギニアビサウ共和国
6)中央アフリカ共和国
7)シエラレオネ共和国
8)ナイジェリア連邦共和国
9)チャド共和国
10)コートジボワール共和国