民間調査機関の一般財団法人 労務行政研究所はこのほど、今年4月入社者の決定初任給を調査し、結果を公表した。
同調査は、2014年度の賃金見直しによって確定された2014年4月入社者の決定初任給(学歴別)を調べたもの。なお、初任給は原則として時間外手当と通勤手当を除く、諸手当込みの所定内賃金となる。
調査時期は、3月中旬~4月7日。調査票の郵送と電話取材により実施した。調査対象は、東証第1部上場企業1,696社と、生命保険、新聞、出版でこれに匹敵する大手企業11社を加えた合計1,707社。このうち、4月7日までにデータの得られた237社について速報集計をまとめた。
初任給の「全学歴引き上げ」は23.2%に
初任給の据え置き率は06年度以降、企業業績の回復や団塊世代の大量退職などを背景とした企業の採用意欲の高まりを反映し、低下傾向にあった。しかし、リーマンショックの影響を受け世界的不況に陥った09年度は一転、92.7%と9割を超え、以降95%前後の高い割合が続いていた。
14年度は75.5%で、13年度(95.4%)に比べて約20ポイント低下。今春闘交渉では、輸出産業を中心とする企業業績の回復、デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景に、大手を中心にベースアップや賃金改善の回答が相次いだことが、初任給の動向にも影響しているといえる。ちなみに、初任給を「全学歴引き上げ」た企業は、13年度4.2%、14年度23.2%と、19ポイント増えている。
初任給額は、大学卒で582円、高校卒で552円上昇
初任給額は、大学卒で20万6,258円、高校卒で16万1,687円の水準。いずれの学歴も、「据え置き」が6~7割台を占める。平均上昇額は、同一企業で見た前年度の金額に比べ、それぞれ582円・0.3%、552円・0.3%の上昇となった。