森林資源(蓄積)の推移

木造住宅の建築や木材製品等の購入でもらえるポイントがあることをご存じだろうか。地域の農林水産品などの商品や森林づくり活動への寄附にも交換できる「木材利用ポイント」だ。地球温暖化防止や循環型社会にも貢献できるという同ポイントを紹介しよう。

「木材利用ポイント」って?

「木材利用ポイント」は、木材の適切な利用で森林の適正な整備・保全を図るとともに、地球温暖化防止や循環型社会の形成、農山漁村地域の振興を助けることを目的としているポイント事業だ。

ポイント発行の対象になるのは、「木造住宅の新築・増築・購入及び床・壁・天井の木質化工事」「木材製品の購入」「木質ペレットストーブ・薪ストーブの購入」である。このほど対象期間が延長し、2014年9月30日までに工事着手されたり、製品購入されたりしたものが対象となった(条件によっては期間が異なる場合がある)。また、ポイントをもらうには必要な要件を確認した後、申請をする必要がある。

ポイントで交換できるものには、地域の農林水産品、農山漁村地域における体験型旅行、一般型商品券・プリペイドカード、農林水産品関連商品券、地域・中小企業型商品券がある。また、ポイントを森林づくり・木づかい活動に対する寄附や復興寄附に利用すること、工事費用にあてること(即時交換)もできる。

なお、ポイントの詳細については、同ポイントWebサイトで確認できる。

増える日本の森林

ところで、森林は現在、どのような状況にあるのだろうか。日本の人工林は資源が増加している一方で木材の利用が進んでいない。そのため、木を植えたり間伐をしたりすることができなくなっているという。

数字で見てみよう。2012年(平成24年)時点での日本の全森林資源量は49億立方メートル(30年前の2倍)、人工林を中心として毎年1億立方メートルが増加しているのだ。しかしながら、木材自給率は27.9%。間伐が行われないことで、土壌の喪失による土砂崩れやCO2吸収量の低下、病害虫の発生などが引き起こされる。

木材(用材)の供給量の推移

対策の一つは、間伐によって発生した木材である「間伐材」を有効に使うことだ。間伐材を使用し、継続的に間伐を実施することで、木を健康に育て、伐採して使い、また植える、という健全な森林のサイクル(循環)が可能になる。森林の多面的な機能が発揮され、山村の活性化やCO2の吸収能力の維持向上がもたらされるのだ。

木の香りでリフレッシュも

木材と他素材の熱伝導率について(資料: 林野庁)

では、木材を使うことにはどんな魅力があるのだろうか。まずは香りだ。木の香りにはリフレッシュ効果や鎮静作用、抗菌作用、殺ダニ作用、消臭作用などがあると言われている。また、周りの湿度に応じて吸湿と放湿を繰り返す「調湿作用」もある。熱伝導率が低いためあたたかさを感じやすく、構造上のやわらかさもある。

木造と鉄筋コンクリート造の建物を比較し、心への影響を調べた調査結果では、木造は8点すべての項目で、鉄筋コンクリート造よりも心理的悪影響が少ないという結果が出た。特に、「気力の減退」「抑うつ状態」「不安兆候」の3点における悪影響の度合いが、鉄筋コンクリート造を大きく下回る結果となっていた。

木造と鉄筋コンクリート造の心への影響(資料: 林野庁)

森林を助けられるだけではなく、農林水産品をもらったり工事費用に当てたりすることもできる「木材利用ポイント」。ちょうど木造住宅を建てている人はもちろん、家具購入を考えている人は、これを機に"木のある生活"を始めるのも良いかもしれない。